研究成果

業績資料(加藤)

Imai T, Koyanagi N, Ogawa R, Shindo K, Suenaga T, Sato A, Arii J, Kato A, Kiyono H, Arase H, Kawaguchi Y.
Us3 kinase encoded by herpes simplex virus 1 mediates downregulation of cell surface major histocompatibility complex class I and evasion of CD8+ T cells
PLoS One. 2013 Aug 12;8(8):e72050.

概要

ウイルスは宿主体内で生き延びるために、宿主免疫システムを回避する様々な機構を獲得していると考えられている。その代表的な例として、主要組織適合遺伝子複合体クラスI (MHC-I) を介した抗原提示を阻害し、感染細胞を細胞障害性 T細胞 (CTL)の攻撃から回避させるという機構が知られている。本研究は、(i) HSV-1がコードするウイルス特異的プロテインキナーゼであるUs3が、MHC-Iの細胞内輸送を阻害し、その細胞表面発現量を低下させること、(ii) HSV-1感染細胞とHSV-1特異的CTLクローンの共培養時、Us3がCTLの活性化を阻害すること、(iii) マウス感染モデルにおいて、Us3がHSV-1特異的CTL数を低下させること、(iv) CD8+ T細胞のdepletionが、Us3変異株の生体レベルにおけるウイルス増殖を有意に亢進すること、を明らかとした。本知見は、MHC-I阻害によるCTL回避のHSV-1感染における意義を生体レベルで初めて明らかとしたものである。