研究成果

業績資料(小柴)

Yoshizumi, T., Ichinohe, T., Sasaki, O., Otera, H., Kawabata, S., Mihara, K., and Koshiba, T. (2014). Influenza A virus protein PB1-F2 translocates into mitochondria via Tom40 channels and impairs innate immunity. Nat. Commun., 5, 4713.

概要

細胞内ストレスシグナルのプラットフォームとして重要な役割を担うミトコンドリアは、RNAウイルスに対する自然免疫反応においても主要な司令塔として機能する。特に、ミトコンドリアを介した抗ウイルス免疫は、ミトコンドリア本来の機能である膜電位(Δψm)が必須であることが知られている。本研究では、A型インフルエンザウイルスタンパク質の一つPB1-F2が、感染細胞内のミトコンドリアに取り込まれ、その結果としてΔψmを低下させる仕組みを明らかにした。PB1-F2は、ミトコンドリアの外膜チャネルタンパク質Tom40を介して、ミトコンドリア内に侵入し、最終的に内膜に蓄積されることで、Δψmを低下させる。このような、PB1-F2のミトコンドリア内における蓄積は、RIG-I経路やNLRP3インフラマソーム等の抗ウイルス免疫反応の抑制に繋がることも明らかになった。