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筑波大学大学院 人間総合科学研究科 医学医療系

がんCancer

転座型融合遺伝子産物によるがん化機構の解析

がんは遺伝子異常によって引き起こされる病気です。多くの場合、遺伝子異常は多段階的に起こり、その異常が蓄積されることで、がんが発生あるいは悪性化します。固形腫癌に比べて血球のがんである白血病は少ない遺伝子変異の回数で発症すると考えられたいるため、がん化機構を解析する良いモデル系になると考えられます。その白血病で多く見られる異常のひとつが染色体転座です。染色体転座とは、染色体の一部がちぎれて他の染色体に結合したり、入れ替わる現象です。染色体転座の結果、あるタンパク質が異常な量で合成されたり、あるいはまったく新しいタンパク質(融合タンパク質)が合成されたりします。これらのタンパク質が細胞内の秩序を乱すことが、細胞のがん化につながると考えられます。
○○○○○○○○イメージ  当研究室では、ある種の急性骨髄性白血病(AML)患者にみられる遺伝子産物SET-CANおよびDEK-CANを対象として、その細胞がん化機構の解析を行っています。SET-CANはSETのほぼ全長とCANの2/3が、DEK-CANはDEKのほぼ全長とCANの2/3が染色体転座によって生じた融合タンパク質です。SETは当研究室で同定されたTAF(Template activation actor)-T betaと同一のタンパク質で、クロマチンリモデリング因子として他の遺伝子の発現制御に関与しています。(TAFについての詳しい説明はこちら) また、DEKはその詳しい細胞内機能については分かっていませんが、やはりクロマチンリモデリング能を有していると報告されています。こうしたクロマチンリモデリング能を持つ因子の変異による細胞がん化は変化したタンパク質自身の機能に起因する可能性とそれらの制御下にある遺伝子発現量の変化に起因する可能性とが考えられます。白血病の中で、この種類の遺伝子が関連するものの割合は決して低くはないのですが、そのメカニズムは現在までにほとんどわかっておらず、研究されているがんの中では新しい範疇にはいるものです。当研究室では、これらのがん遺伝子に対して生化学的な解析から個体を用いた解析まで行うことで、新しいがん化メカニズムの解明を目指しています

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