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筑波大学大学院 人間総合科学研究科 医学医療系

生体防御Host defense agaonst virus

ウイルス感染とインターフェロン経路

生体にはウイルスや細菌感染に対抗するために様々な防御機構が備わっています。感染源に対して特異性が高く、異物排除に効果的な役割を果たします。抗体を産生して免疫応答を引き起こす液性免疫とリンパ球が直接抗原と免疫応答を引き起こす細胞性免疫に分けられます。これらは獲得免疫系と呼ばれ、いずれの場合も免疫応答には遺伝子再構成を要するために感染から応答まで4日から7日かかります。このような免疫系とは別に生体内に異物が侵入した直後から働く免疫系があり、自然免疫系と呼ばれています。これらはマクロファージ、樹状細胞、NK細胞などによって行われます。ウイルス感染ではインターフェロン(IFN)が自然免疫系として大きな役割を果たします。IFNは糖タンパク質であり、その抗原性の違いによってT型とU型に分類されます。IFNは細胞がウイルスに感染したり、IFN自身や他のサイトカインの刺激を受けると誘導されて細胞外に分泌されます。分泌されたIFNは近接のまだウイルス感染を受けていない細胞のIFN受容体に結合して、JAK-STAT経路を介して抗ウイルス活性をもつたんぱく質の発現誘導を行い、細胞にウイルス抵抗性の性質を誘起します。これは主にT型IFNがもつ機能です。遺伝的にIFN系に異常がある場合、通常毒性が弱いとされるウイルスによる感染でも死に至ることがあり、IFN系が宿主防御(特にウイルス感染)に果たす役割の大きさが実感できるでしょう。
○○○○○○○○イメージ  T型IFNによって発現誘導を受けるタンパク質のひとつにMxタンパク質があります。Mxタンパク質はインフルエンザウイルスに抵抗性を示すマウスから同定されました。マウスMx1のホモログとしてヒトMxAとMxBの2種類が報告されており、MxAはインフルエンザウイルス以外にも水泡口内炎ウイルスなどに対して抗ウイルス作用を示します。マウスMx1が核に局在するのに対して、MxAは細胞質に局在します。細胞質に局在するMxAが核内で転写・複製を行うインフルエンザウイルスの増殖をどのように抑制するかについてはまだ不明な点が残されています。我々の研究からMxA発現細胞ではインフルエンザウイルス感染後のアポトーシスがより顕著に起こることが明らかとなりました。そこで、MxAの機能を細胞死促進作用という面からも解析をしています。。

 ここまでウイルスに対する宿主の防御システムについて述べましたが、多くのウイルスはIFNによる生体防御システムを回避する機構を獲得しています。近年、パラミクソウイルス科に属するいくつかのウイルスにおいて、そのウイルスタンパク質が先ほど触れたJAK-STAT経路を阻害して宿主細胞に抗ウイルス活性を誘起させないようにする機能(抗IFN活性)を有することが報告されました。同じくパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスにおいても、あるウイルスタンパク質が抗IFN活性を有することが明らかとなりました。現在、その作用機構について解析を進めています。。

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