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筑波大学大学院 人間総合科学研究科 医学医療系

研究・教育方針CONCEPT

研究・教育方針

研究において何より大切なことは、オリジナリティーです。独自の考えで真理を探究し、新しい技術を開発するということです。人はそれぞれに個性がありますから、一見同じような疑問や課題を持ったとしても、どこかで異なるものだと思います。アプローチの方法に至っては、合理的で正確な方法という考え方はあるかも知れませんが、基本的な問題の捉え方の違いによって大きく異なるものです。同じ結論を導くために、DNA組換え技術を駆使した方法もあるでしょうし、動物の体重を計るだけで答えにたどり着くこともあるでしょう。いずれにしても、もともと困難な問題に、独自に取組むことになりますから、立ちはだかる壁は相対的には大きなものになるでしょうし、失敗もあるでしょう。それ以上に予想外の結果に至ることも多々有ります。ある意味では残念な結果かもしれませんが、科学史においても、またこれまでの自分の研究史を振り返っても、予想外の結果は最大のチャンスでもあります。

研究室における教育については、従って、如何にそれぞれの学生、研究者、教員の個性的なアイデアを芽吹かせ、花咲かせるかという観点が重要です。そのためには、セレンディピティー(serendipity)という言葉で表される能力を身につけるためのトレーニングが重要です。セレンディピティー涵養には、おおらかな討論や不断の思索が重要ですし、課題の背景を十分に調べておくことも必要です。次に重要なことは、公明性公平性を身につけることです。何が自身のオリジナリティーかということを真剣に考えるためには、これまでの科学・研究の成果をしっかりと理解していなければなりません。論文の引用などは常に正確でなければなりません。社会性の認識も重要です。捏造や盗用はオリジナリティーの観点からは唾棄すべきことです。このようなネガティブな意味ではなく、自分の研究の社会での位置付けということもよく考えるべきです。今、ヒトと地球は数多くの問題に直面していることだけは認識しておく必要があります。

感染生物学研究グループからのメッセージ

ウイルスとはいったい何なのでしょうか?その答えは、哺乳類を始めとする生物との違いにヒントがあります。生物は自己複製することができますが、ウイルスは自身では増殖できず、その増殖は感染した宿主細胞に依存し、細胞内の多様な機能を必要とします。そのため、ウイルス増殖はウイルス由来の因子と宿主細胞因子が関与する生命(細胞)機能に支えられています。これまでに、ラウス肉腫ウイルスゲノムにコードされたがん遺伝子産物の発見や、mRNAのキャップ構造やスプライシング機構の発見など重要な生物学的現象がウイルス研究により明らかとなってきました。また、感染と増殖が細胞特異的であることを利用したウイルスベクター系の開発がさまざまなウイルスにおいて進められており、医学や薬学などの分野に新たな手法を提供してきています。iPS細胞の開発にもウイルスベクターが用いられています。このようにウイルス研究は生物学的な基礎研究から臨床の現場にいたるまで様々な局面でそれらを支え、推進する原動力です。当研究室ではインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどについて、宿主細胞因子の同定と機能解析およびウイルス因子の機能解析の両面から未だ解明されていないウイルスの増殖と病原性発現のメカニズムを中心に、またこれを基盤とした多様な生命科学の課題について分子レベルで解析を行っています。

インフルエンザウイルスを用いた研究では、細胞への侵入から子孫ウイルス産生に至るすべての過程について、@原子レベルでのウイルス因子・宿主因子の構造機能解析、A逆遺伝学による病原性発現の分子メカニズム解析、B細胞・臓器・個体を用いた種特異的増殖機構の解明、C抗ウイルス生体防御(特に、innate immunityの周辺)機構とウイルスの抗生体防御機構の攻防のメカニズム、Dウイルスを味方につける新たなウイルス工学の開発、E上記の研究に根ざしたウイルス制御法、特に新たな抗ウイルス薬の開発研究などの課題を展開しています。

アデノウイルスを発端とした研究は、@基本的なウイルス複製の分子機構解析はもとより、その研究が発端となった生命そのものの生理と病理に関わる研究が進んでいます。Aウイルスクロマチン制御機構研究を起点に、今では真核細胞のクロマチン制御機構の研究で独自性と先駆性の高い研究をすすめています。Bその研究は、より高次な核の構造による機能(ゲノム複製や遺伝子転写)制御の研究へと繋がってきました。C我々が見つけたクロマチン制御因子に起こる不正が細胞のがん化を引き起こすことが判明し、現在はエピジェネティックな機構が関わる新たな発がん機構の解明と新規がん診断法の開発をすすめています。Dクロマチンや核の研究は、いまや試験管内細胞核再構成プロジェクトに繋がり、このプロジェクトは新たな核=細胞を創成するという点で、発生・分化研究あるいは再生生物学・再生医科学研究の範疇にありながら、他とはオリジナリティーにおいて一線を画するアプローチです。

我々は、「ウイルス学は現代生命科学を牽引する」をモットーに、原子・分子レベルから、細胞・臓器・個体はもとより、種や生物集団レベルでの研究を、ウイルス、大腸菌、酵母、線虫、カエル、ネズミ・トリ、ヒト集団を用いて、組換えDNA技術、分子生物学、構造生物学、生化学、細胞生物学、発生工学、バイオインフォマティクス、数理科学などの手法を駆使して、生命科学の諸課題に挑戦しています。


バナースペース

感染生物学分子ウイルス学研究室

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