1:急性白血病(AML/ALL)・骨髄異形性症候群の場合
* 急性白血病の治療には、
1)抗がん剤を用いた治療法=化学療法
2)抗がん剤と免疫能力の移植を組み合わせた治療法=移植治療
* 骨髄異形性症候群の治療には、
1)化学療法
2)移植治療
3)免疫抑制療法=血液を作る力が衰えている場合に用いられる。一部の骨髄異形性症候群に有効であるとされている
4)サイトカイン療法=造血を支援する因子(サイトカイン)を使う
5)支持療法=輸血や造血を促すホルモン(蛋白同化ホルモン)を使用する
があります。
2:慢性白血病の場合
* 慢性骨髄性白血病に対しては、
1)イマチニブ(グリベック),
2)インターフェロンが使用されます。これは、これらの薬剤が慢性骨髄性白血病に対して、その遺伝子異常を改善させる可能性を持っているからです。
3)白血球数のコントロールがつきにくい時や上記治療がなんらかの事情で用いにくい場合、ハイドロキシウレア(ハイドレア)が使用されます。
4)イマチニブ・インターフェロンを使用していても遺伝子異常が改善しない、または、改善しにくい方は、骨髄移植の適応となります。また、急性転化を不幸にしておこしてしまった方が再び慢性期に戻ったあとも骨髄移植の適応があります。
* 慢性リンパ性白血病に対して
慢性リンパ性白血病は、白血球が多少多かったりしてもそれだけで障害が起きたり、急性転化の頻度が高いわけでもないことから、貧血や白血球の増加が著しくて問題がおきたり、障害が明かとなってから治療が行われます。フルダラビンという薬や、サイクロフォスファマイドを使用することが多いと言えます。慢性リンパ性白血病に対して骨髄移植術を施行することは、稀であると考えられます。

抗がん剤を用いた治療を化学療法と呼んでいます。化学療法剤には、
1;細胞分裂を抑制することで、増加している血液のがんをコントロールするもの
シタラビン・ダウノマイシン・アドリアマイシン・エトポシドなど
2;がん細胞が増える原因となっている遺伝子の異常を抑制する分子標的薬
イマチニブ(グリベック)・ATRA(ベサノイド)
3;がん細胞が持つ構造を免疫機能をまねてこわす
リツキシマブ(リツキサン)
があります。
抗がん剤を用いた治療法は、正常の細胞も障害を受けるため、吐き気・下痢・脱毛・肝障害・血液回復が遅れる→感染症・出血・貧血が出る、などの副作用があります。
治療を繰り返し行い、患者さん自身の腫瘍細胞を取り除く治癒能力のレベルまで腫瘍細胞の数を減らすことを目標に治療が行われます。
骨髄・末梢血造血幹細胞・臍帯血などの血液を持続的に造る能力をもっ
た細胞を移植する治療法をここでは分かりやすくまとめて骨髄移植と呼ぶことにします(造血幹細胞移植と呼ぶのが正式)。
骨髄移植は、白血球の型(HLAと言います)が患者さんとドナーさんの間で一致していることが望まれます。
患者さんは、抗がん剤の治療により腫瘍細胞を減らす処置を受け(前処置)、免疫抑制剤を使用し、ドナーさんの骨髄を受け入れやすくします。
その後、骨髄・末梢血・臍帯血などを輸血と同じように点滴で移植します。
骨髄移植には細胞をくれた方(ドナーさん)の免疫能力が血液の腫瘍(白血病など)を殺すことを期待できます。一方、移植療法にはさまざまな危険性が伴います。主なものを記載します。
・生着不全:造血が再開されない。
・感染症:白血球が増えるまで細菌・かび、免疫機能が正常に働くまではウイルス・原虫などが患者さんの生命を脅かします。
・微小血管血栓症:放射線・治療に使った薬の影響で血管に障害が起こり、血管に血栓が詰まるものです。意識が変化したり、腎不全となったり、肝不全を起こしたり、様々な臓器障害をおこします。肝臓の細小血管を閉塞し、肝不全をおこしてくるものをveno-occlusive disease (VOD)と呼びますが、移
植早期におきる重篤な合併症の1つです。
・移植片対宿主病(GVHD):ドナーさんからの骨髄などに含まれているリンパ球が患者さんと完全な組織適合性が無いためにおこす障害です。HLAを合致させた移植であると言っても、大切と考えられている6カ所のHLAを合わせているだけですので、一卵性双生児の兄弟からの移植でない限り生じ得ます。急性型は、皮膚・腸・肝臓に障害が多く、ここを中心に、慢性型は、皮膚・肺・肝臓などに自己免疫疾患と類似の障害をおこします。
HLAの合致した兄弟間の移植に於いても、約25%の方に看過できない急性GVHDがおき、
HLAが合致していない場合、これは約40%にたかまると言われています。


・治療に使われる薬・放射線の副作用
このように骨髄移植には、さまざまなリスクがあり、治療関連死も稀ではありません。しかし、前にも記載しましたように、移植したドナーさんの免疫を担当する細胞が、再発を抑える効果(移植片対白血病効果など)があります。病気の種類・時期などから化学療法のみより骨髄移植の成績が良い、と判断される時に移植が行われます。
では、いつ、どの様な時に骨髄移植の適応があるのでしょうか?
成人では、慢性骨髄性白血病でグリベック・インターフェロンの効果が期待しがたい場合などは、移植の良い対象となります。そのほかにも移植の対象にはいろいろな病気・時期がありますが、全てを簡単に表現することは難しく、いろいろな因子を考慮して考えなくてはいけません。白血病の手ごわさ(リスク)、治療を受ける方の体力、など。
我が国では、日本造血細胞移植学会が移植ガイドラインを作成し公表しています。
http://www.jshct.com/guide_pdf/2002.pdf
リスク分類を行うには専門的な知識が必要です。また、実際の患者さん毎に考慮しなければいけない因子もあります。ご自分が移植適応があるか?のご判断は、御担当の先生によく伺ってくださることをお願いします。