人間総合科学研究科学生・医学生・臨床研修医・教員を対象とし、医学系専攻の各研究室の研究内容の紹介、討議することで大学院のPRと教員間の共同研究の推進を計るセミナー。

 

第34回 医学系専攻研究セミナー

演 題

未定

講演者

未定

日 時

未定

場 所

未定

 

 

 


過去のセミナー   講演者名から各セミナーの様子をご覧いただけます。 )
 
   
疾患制御医学専攻
 

『腎臓発生・再生・腎臓病学の接点−iPS細胞研究までの軌跡−』
複雑な構造・生理機能をもつ固形臓器である腎臓の場合、再生医学の臨床実現が容易ではないことは想像に難くない。昨年、文科省から公表されたiPS細胞研究のロードマップにおいてもドナー腎臓再生の実現性は低いものであった。 今回、幹・前駆細胞、細胞間接着、血管発生等のキーワードを用い腎臓発生に関して概説する。さらに腎臓発生の腎炎診療や腎臓再生への展開を述べながら、現在検討しているESやiPS細胞を用いたドナー腎臓の再生・作製方法を紹介する(東京大学医科学研究所ERATO中内幹細胞との共同研究)。

看護科学専攻
 

『人間のダイカストとしての情報環境と看護過程』
環境看護学という名称は、いくぶん馴染みが薄いかもしれませんが、環境看護学領域は、生活環境における看護の諸課題を基礎科学的な見地から究明しようとしております。具体的には、建築的・心理的な視点から見た療養環境の課題、生活 習慣病の予防のための生活環境の調整と支援方法、色、音、香りなどのアメニティ環境の課題、病者が環境移行する際に起こる看護上の諸問題などについて、研究を行っております。今回は、最近取り組んでいる遠隔看護の基礎となる研究テーマのひとつとして、看護者が物理的な環境を解釈した像である情報的環境とそれを踏まえた利用者志向の看護計画支援システムの考え方、およびその課題を紹介します。

生命システム医学専攻
 

『大Maf群転写因子の機能と疾患』
大Maf群転写因子は、b-Zip型の転写因子で、ヒトおよびマウスでは、MafA、MafB、c-Maf、NRLの4種類存在することが知られている。我々の研究グループは、遺伝子欠損マウスを用いて、その機能とヒト疾患との関係を解析した。その結果、c-Mafが眼の水晶体形成や、骨芽細胞の分化に必須の転写因子であること、MafAが成体の膵臓β細胞の機能維持に必須の転写因子であること、さらには、MafBが膵臓内分泌細胞の発生、内耳の形成、腎臓の足細胞の機能発現、マクロファージの機能分化に必須の転写因子であることを明らかにした。一方、大Maf群転写因子に過剰発現により、ヒトおよびマウスにおいてリンパ腫が発症することを解明した。本セミナーでは大Maf群転写因子に多彩な機能と疾患との関連ついて、最近の報告を含め概説したい。

疾患制御医学専攻
 

『遺伝性不整脈の胎児・新生児期からの診断と管理―乳幼児突然死症候群との関連を含めて―』
分子生物学の進歩により、心室頻拍や心室細動に代表される致死的な不整脈の発生機序が心筋細胞のイオンチャネルレベルで解明されるようになった。K+、Na+、Ca++チャネルの構造異常によって不整脈が誘発され、失神や突然死を来す代表的な疾患には先天性QT延長症候群、ブルガダ症候群(かつてポックリ病と言われた)、カテコラミン誘発性多形心室頻拍などがある。これらは乳幼児期のみならず胎児期でも発症することがあり、最近の研究によれば、一部(約10%)の乳幼児突然死症候群(SIDS)や原因不明の子宮内胎児死亡はこれらの遺伝性不整脈が原因である可能性が示唆されている。胎児心エコー診断法や、当院で施行している胎児心磁図法(超伝導技術を用いた特殊な生体磁気計測法)を用いた遺伝性不整脈の出生前診断、母体への薬物投与による胎児不整脈の治療、乳幼児期の管理などについて概説する。

看護科学専攻
 

『最先端生殖医療における看護の役割』
現在、日本で何らかの不妊治療を受けている患者カップルは約28万5千組と推計され、高度生殖医療の助けを借りて生まれる子どもは、年間の出生児60人につき1人と報告されています。こうした生殖医療技術の進歩や適応範囲の拡大は、子どもが欲しいと願うカップルには望ましい状況と捉えられる反面、治療の選択や終止時期に迷う当事者のジレンマを深刻化し、情緒的サポートや意思決定支援の充足が望まれています。また、最近報道された“受精卵取り違え事件”は、不妊治療を受療する女性の心身の安全をどのように守っていくのかという、生殖医療における看護のあり方に新たな課題を投げかけています。 本セミナーでは、生殖医療を取り巻く社会や医療の現状と看護研究の現在、当事者の声から看護ケアの根拠を見出す質的研究法、治療の選択や終止をめぐる意思決定支援に関する最新の知見を紹介します。

生命システム医学専攻

『がんの発生と進展におけるTGF-βシグナルの作用』
トランスフォーミング増殖因子β (TGF-β)は、上皮増殖因子(EGF)と協調してがん細胞の特徴のひとつである足場非依存性増殖を誘導する因子として発見された。私達は、がんの発生と進展に関与するTGF-βシグナルの標的遺伝子の同定とその作用機序の解析を進めている。本セミナーでは、腫瘍形成と遊走能亢進に関与するTGF-β関連分子について最新の知見を解説するとともに、腫瘍発生の母地となる組織幹細胞の本態解明に向けた研究室の取り組みについて紹介する。

疾患制御医学専攻

『右手型アミノ酸は加齢性疾患の陰の役者か?』
アミノ酸を化学的に合成すると右手型と左手型が等量生成されます。ところが地球上のすべての生物は、自らを構成する材料として左手型のみを利用しているのです。そのため右手型アミノ酸は進化の過程で排除されたと信じられていました。ところが、生体内において蛋白質を構成するアミノ酸が左手型から右手型に変換され、加齢に関わる様々な疾患の原因として脚光を集めつつあります。蛋白質の突然変異と例えることのできる右手型アミノ酸について様々な疾患の発症機序を考え直してみませんか。

疾患制御医学専攻

『皮膚の紫外線反応、紫外線発癌におけるNrf2-Keap1系の役割』
過剰な酸化ストレスは、多くは細胞障害性に作用し、細胞死や癌化、老化の原因になると考えられている。皮膚において紫外線照射は、DNAに直接作用してDNA障害をもたらす他、一重項酸素等の酸化ストレス物質の強力な細胞内発生刺激であることが知られており、紫外線は、強力な酸化ストレスを皮膚に与えることにより、皮膚の老化・癌化の主要な促進因子となっている。これに対し、生体は酸化ストレスを中和し、生体を酸化ストレスから保護するしくみも用意している。Nrf2-Keap1系は、細胞が酸化ストレスに暴露されると活性化し、抗酸化・生体防御蛋白であるグルクロン酸転移酵素やグルタチオンS転移酵素等の発現を活性化する主要な経路として同定された。本講演では、紫外線による細胞死や皮膚の癌化に対するNrf2-Keap1経路の役割について我々が得た知見を紹介する。

生命システム医学専攻

『哺乳動物の精子の受精能獲得機構』
哺乳動物の精子は、雌の生殖輸管内でcapacitation(受精能獲得)と呼ばれる活性化を受けて初めて受精可能となります。一方で、未受精卵と遭遇することができる適切なタイミングで起こらないとcapacitationは精子を死に至らしめる変化となってしまいます。Capacitationの厳密な分子機構はまだ明らかになっていませんが、精子細胞膜のコレステロールレベルの低下と活性酸素種の産生が反応の引き金になっていると考えられています。 Capacitationのメカニズムについて、我々の研究を中心に最近の知見を概説します。

村田 聡一郎 疾患制御医学専攻
 

『血小板による肝病態制御機能の研究と臨床応用への展望』
肝臓は生体の維持に必須の臓器であり、通常は極めて再生力が強いが、その再生力を超えた障害が慢性的に加わると、線維化を起こして肝硬変となる。肝硬変の肝臓を安全に手術するための肝再生促進療法、さらに肝硬変の線維化を抑制して肝硬変自体を治療する方法の確立が望まれている。我々は血小板という身近な因子に着目して肝硬変を治療する方法を研究している。本セミナーでは、血小板の持つ様々な肝病態制御機能の研究と臨床応用への展望について紹介する。

入江 賢児 生命システム医学専攻
 

『mRNA局在と局所的翻訳の分子機構』
  多細胞生物の発生や分化の過程では、さまざまなタンパク質が細胞内において時間的・空間的に不均等に局在または合成され、これが各細胞の運命決定・特異的な機能発現に重要な役割を果たしている。タンパク質の不均等な分配を導く方法として、mRNAの細胞内局在と局所的翻訳の機構がある。mRNA局在と局所的翻訳の機構は、細胞の非対称分裂、卵形成、細胞運動、シナプス形成などさまざまな生命現象において見出され、重要な役割を果たしている。本セミナーでは、酵母の系を中心に、mRNA局在と局所的翻訳の分子機構について紹介する。

関口 幸雄 疾患制御医学専攻
 

『不整脈回路の可視化』
心臓内を伝播する興奮波を目で見ることが可能になれば、不整脈の機序・治療においておおいに役立つのではないか。このような希望が現実となった。
不整脈の治療は医師が心内心電図および体表心電図から不整脈の機序および回路を判断しそれを二次元に示された透視画像からカテーテルを目的部位へともっていき治療を行う。かつては、これらすべてを医師の頭の中で整理し行っていたが、現在はCARTOシステムという磁場を用いたカテーテルシステムを用いることで、医師の頭の中のイメージを画面上に表示することが可能となった。このCARTOシステムは1mm以下の精度でカテーテル位置を記録し、同時にその場所での電位の情報を取り込むことにより、立体画像として表示される。そして、心臓内の興奮の伝播や心筋の状態を色で表示することでより明解に不整脈の機序および回路が同定され、今まで治療が困難であった難治性不整脈に対する治療が可能となった。

第21回 市川 政雄 社会環境医学専攻

『日常生活の素朴な疑問にはじまる私の公衆衛生学研究』

 日常生活の素朴な疑問は研究のきっかけとなる。たとえば、自転車通学する中学生がヘルメットをかぶっている。どうやら校則らしい。そこで、ふと思う。ヘル メットの着用を校則で義務化したところで、頭部外傷の発生率は下がるのか。下がると期待し、義務化しても、本当に下がらなければ意味がない。当たり前のこ とかもしれないが、根拠に基づく医療や政策の実現には、こうした疑問にコツコツと答えていくことが不可欠である。
講演では研究の結果よりもそのプロセスを中心に話したい。研究テーマがみつからない大学院生、必見ですよ。

先端応用医学専攻

『ユビキタス抗原が誘導する自己免疫性関節炎 ‐病態とその制御‐』

 関節リウマチは頻度の高い自己免疫疾患であるが、近年 TNFαなどを抑止する生物学的製剤の有効性が明らかになった。しかしながら、これら薬剤にも抵抗性群が存在し、何故それらが有効であるかを十分示唆する病因論は未だ存在しない。ユビキタスな酵素 glucose-6-phosphate isomerase ( GPI )が誘導する2種の関節炎モデルと関節リウマチについての病因論的な接点をクローズアップし、今後の疾患制御を目指した研究展開について述べたい。

機能制御医学専攻

『血管新生を抑えて脳腫瘍を治す』

 脳腫瘍のうちグリオ−マは難治性であるが、他臓器の腫瘍に比べて最も血管に富んだ腫瘍であることから血管新生を標的とした治療を研究している。

グリオーマの血管新生のkey factorであるVEGFとhypoxiaを標的とした治療、血管内皮前駆細胞(EPC)を用いた治療の基礎的研究を紹介するとともに、腫瘍血管内皮細胞を用いた今後の研究の展開を述べたい。

臨床医学系精神医学

『青年の自殺について ‐本学データから見えてくる現実‐』

 平成10年に年間の自殺者が3万人を上回るようになって以来、我が国では様々な自殺予防対策が叫ばれているにもかかわらず、その数はいっこうに減る気配もない。中でも、青年期の自殺が同年代の死因で上位を占めていることを忘れてはならない。我々はこれまで本学学生の自殺事例の分析を丹念に行いその概要を報告した。当日はその結果も交えて青年期の自殺に焦点をあて、青年の自殺予防のため我々が今後どのように対処するべきかをお話ししたい。

病態制御医学専攻

『胆汁うっ滞症における肝トランスポーターの発現異常と分子標的薬物療法』

 日常臨床において胆汁うっ滞症に遭遇する頻度は高い。胆汁うっ滞症では随伴する酸化ストレスにより重度の黄疸(高ビリルビン血症)を呈する。肝毛細胆管膜上のトランスポーターの発現レベルは本症の病態を左右する重要な因子である。最近では,生体のストレスセンサーであるKeap1-Nrf2システムの賦活化により、トランスポーターの発現誘導が生ずることが明らかとなっている。また、漢方ならびに胆汁酸製剤には、転写因子Nrf2を活性化し、トランスポーターの発現誘導を促進する抗胆汁うっ滞効果を有することも判明しつつある。

先端応用医学専攻

『SREBPとTFE3:エネルギー代謝転写調節の生理と病態』

 過剰な栄養摂取がいかに脂肪酸合成を誘導するか、そのメカニズムの追求から転写因子SREBP-1の解析を展開している。 この脂質合成転写因子は生理的制御のみならずインスリン作用を障害し“メタボ”や糖尿病の病態に関与している。 さらに、代謝を超えて細胞周期など広く生命現象にも関与している様である。 最近報告したメタボ病態改善因子TFE3も絡めて、転写調節によるエネルギー代謝ホメオスタシスについて語りたい。

機能制御医学専攻

『酸化ストレスタンパク質の生体における意義の解析』

 生体は外界から数多くのストレスを受けており、酸化ストレスもその一つである。第14回の山本雅之教授のセミナーでは、酸化ストレス応答が体内のセンサー分子としてのKeap1-Nrf2系を介してなされることが明らかにされたが、今回は、Keap1-Nrf2制御下にある酸化ストレスタンパク質群に注目し、ノックアウトマウスのフェノタイプ解析を中心に酸化ストレスタンパク質の生体での意義や臨床応用の可能性を論じる。

分子情報・生体統御医学専攻
(現、東北大学 医学系研究科 医化学分野)

『親電子性物質・活性酸素応答の分子メカニズム』

 動物は、体内に酸素を取り込んで炭水化物などを燃やし、エネルギーを得ている。一方、鉄が酸素により錆びていくように、酸素は生体にとっていたみの原因になる重大な環境ストレスである.近年の科学の発展は私たちの生活を豊かなものにしたが、一方、有害化学物質(「親電子性物質」)を環境中に放出し、問題をひき起こしてきたことも否めない。この問題の解決のためには,生体がどのようなメカニズムで親電子性物質に応答しているのかを理解する必要がある。

病態制御医学専攻

『カテコールアミン研究よもやま話』

 高峰譲吉がアドレナリンの結晶化に成功して構造決定をしたのが100年前である。カテコールアミン研究の歴史は古く、よく知られたホルモンかつ神経伝達物質である。しかしながら、現在にいたるまで脈々と研究は続き新たな事実が明らかにされている。カテコールアミン合成・分泌の巧妙な機序、抱合型カテコールアミンに関する話(果物がカテコールアミンを多く含むなど)、カテコールアミンを産生する腫瘍の最近の話題(神経芽腫、褐色細胞腫)など、自験データを交えて薀蓄を傾けたい。

分子情報・生体統御医学専攻
(現、東北大学大学院医学系研究科医化学分野)

『小Maf群因子を含む2量体転写因子が制御する生体の生存戦略と恒常性維持機構』

 癌遺伝子v-Mafの関連因子として単離された小Maf群因子は、2量体を形成してDNA配列に結合し、標的遺伝子の転写を制御している。私たちは、マウスを用いた遺伝学的解析から、小Maf群因子の機能低下が、酸化ストレス応答障害、神経細胞のアポトーシスと機能障害、白内障、血小板形成障害等の異常をもたらすことを見いだした。本セミナーでは、生体における小Maf群因子を含む2量体の機能について、最近得られた知見を含めて紹介する。

分子情報・生体統御医学専攻

『循環調節中枢による心臓・血管交感神経活動の制御機構』

 交感神経系を介した心臓・血管運動機能調節は、血圧調節や血流分配調節等において重要な役割を果たしている。心臓・血管交感神経活動を調節する循環調節中枢は吻側延髄腹側部に存在していることが知られている。この部位に存在するニューロンは、末梢の心臓・血管交感神経活動を駆動し調節しているが、未だに多くのブラックボックスが存在している。本セミナーでは、循環調節中枢による交感神経活動の駆動および血流分配調節における機構について、最近得られた知見を紹介する。

社会環境医学専攻

『神経細胞機能における脂質性シグナル伝達酵素PIP5Kの役割』

 ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)は細胞膜微量構成成分であるが、アゴニスト刺激の際に細胞膜局所でその産生が増大し、細胞膜の形態変化をはじめとする多彩な生理機能を制御する機能リン脂質である。PIP2の産生はPIP5Kによって行われる。本講演では我々が最近見出したPIP5Kγアイソザイムの新規結合蛋白質の同定と、神経伝達物質放出後のシナプス小胞再回収におけるこれら蛋白質間相互作用の重要性を中心に論じる予定である。

社会環境医学専攻

『統合失調症の遺伝的リスクとは何か』

 代表的な精神疾患である統合失調症の発症には遺伝素因が関わっている。その遺伝素因をなす遺伝子を同定するために日本では大規模な共同研究グループが作ら れ、サンプルの収集がなされてきた。ゲノム解析の技術が発達し、共同研究グループが目指した研究法が実現できるようになり、複数の方法からの統合失調症の ゲノム解析を駆使して、統合失調症に関わる遺伝子の候補が次々と同定されてきている。その一方、研究に立ちはだかる困難も改めて認識され、統合失調症のリ スクを大きく決定する遺伝リスクの全貌解明まではまだ遠い現実がある。

病態制御医学専攻

『スルフォラファンによる胃癌の化学予防 ‐ブロッコリースプラウトを食べるとH.pylori胃炎が軽快する‐』

 ブロッコリーの新芽に含まれるスルフォラファンは転写因子nrf2を介して生体の酸化ストレス応答能を高めるとともに、胃癌の原因菌であるH.pyloriに対して抗菌作用を発揮する。我々はH.pylori感染マウスにブロッコリーの新芽を食べさせたところ、胃炎は著明に改善した。次にH.pylori感染者にブロッコリーの新芽を8週間摂食させるRCTを実施した結果、H.pylori菌数は著明に減少し胃炎も軽快した。今後は胃癌の高危険度群患者を対象に長期間の介入試験を行い、スルフォラファンのヒト胃癌予防効果を直接検証したいと考えている。

分子情報・生体統御医学専攻

『蛍光タンパク質の応用とin vivoバイオイメージング』

 私達は、生きた細胞中のタンパク質分解を分子イメージングに応用する「デグラトンプローブ」と名付けた新技術の開発を進めている。このプローブを用いると、生きたままの細胞中で特定の分子やタンパク質間相互作用を検出できる。またこの技術は動物個体にも応用可能で、トランスジェニックマウスを用いたin vivoイメージングによる解析を進めている。本発表では、新しいin vivoイメージング機器類についても紹介する。

社会環境医学専攻

『Developmental Origins of Health and Disease』

 発表者は、バングラデシュの国際機関であるICDDR,B:国際保健人口研究センターのヘルスシステム・感染症対策部主任研究員として、ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院国際保健部から出向していた。その間、ジョンズホプキンス大学・コーネル大学・ウプサラ大学とともに、UNICEF低体重児削減対策プログラムワーキンググループを結成し、大型妊婦―胎児コホート研究を行うことを提案した。現在、グローバルワーキンググループは、世界の拠点で研究を続けており、その交流促進のため、新しい国際学会であるInternational Association of Fetal Origins of Adult Disease 学会 (昨年、改名されてDevelopmental Origins of Health and Disease 学会)が2001年に誕生した。

機能制御医学専攻
社会環境医学専攻

『臨床試験と症例登録:臨床データからEvidenceをつくる』
今日の医療現場における治療法の開発には、新薬・親治療に対する科学的、倫理的な実験的研究としての臨床試験や、多数の奨励に対して科学的観察を行なう臨床研究の結果に基づいて行なわれている。臨床研究は毎日の診療記録をただ積み上げるだけでなく、真実に出来るだけ近い結果を得るための研究デザインにのっとってデータ収集を実施することではじめて可能となる。

今回はとくに毎日の診療現場で得られるデータを活用するための研究デザインを、介入研究(治験・臨床試験)と観察研究(症例登録)の両面から紹介する。

機能制御医学専攻

『コホート研究に基づくCIN l/llの管理方針と高危険群の抽出』

 子宮頸がんやその前駆病変である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の発生にHPVが関与していることは疑う余地がない。1998年4月に発足した文部科学省特定領域研究「HPV感染と子宮頸部発癌に関するコホート研究」(吉川班)が発足し、Prospective nonintervension cohot study(治療せずに細胞診・コルポスコープだけでのfollow-up)が開始された。900例余で登録を終了し、症例の追跡中である。今回、中間解析を行い、子宮頸部初期病変としてのCIN l/llの進展に関するリスク因子を検討し考察した。

病態制御医学専攻

『環境因子に対する生体応答と、その破綻としての呼吸器疾患 ‐動物モデルの解析を中心に‐』

 肺は外界と直接に接しており、環境因子の影響を受けやすい臓器である。生体、特に肺組織は様々な防御機構を形成し、環境因子からの攻撃をかわしている。防御機構の異常は生体側の疾患感受性因子として、多くの呼吸器疾患の発症に関与する。我々の研究室では環境因子曝露による各種呼吸器疾患の動物モデルを作成し疾患感受性因子の同定を試みており、本セミナーではその一端を紹介する。本発表を機会に共同研究が推進されることを期待する。

分子情報・生体統御医学専攻

『つくばから世界へ ‐免疫システムの未来の基本原理の解明への挑戦‐』

  免疫システムは病原微生物や癌、異物などの非自己に対する生体防御機構である。
一方でその破綻は自己免疫病、アレルギーといった今日的な難治疾患の本質的病因ともなっている。免疫システムはきわめて精緻に統合された高次生命統御機構であるが、我々はその基本原理をまだ充分に理解していない。
  本セミナーでは、本研究室が世界に先駆けて発見した幾つかの免疫応答に重要な分子について概説し、免疫システムの未知の基本原理を明らかにしようとする試みについて紹介したい。

先端応用医学専攻

『放射光を用いた新しい生体イメージング』

 X線は、1895年発見当初から生体内を可視化できる優れた手法として広く医療の場で用いられ、今日では3次元CTも臨床の場に導入されている。一方、加速器から発生し、白色性・直線偏向性を有す高輝度X線(放射光)を用いた新しい計測技術が、生命科学を含めた広範な研究領域で用いられ始めている。本セミナーでは、被射体を透過した後の吸収差からX線像を形成する従来の画像化手法ではなく、X線の屈折や蛍光等の物理現象を利用した新しい生体イメージングを紹介する。