X 線は、1895 年発見当初から生体内を可視化できる優れた手法として広く医療の場で用いられ、今日では3次元CT も臨床の場に導入されている。一方、加速器から発生し、白色性・直線偏向性を有す高輝度X 線(放射光)を用いた新しい計測技術が、生命科学を含めた広範な研究領域で用いられ始めている。本セミナーでは、被射体を透過した後の吸収差からX 線像を形成する従来の画像化手法ではなく、X 線の屈折や蛍光等の物理現 象を利用した新しい生体イメージングを紹介する。
屈折情報を検出できる干渉計を用いた位相X線像では、従来の透過X 線CT で描出できない癌等の生体軟部組織構成を無造影で弁別する事ができる。一方、特定元素分布をppm オーダーで検出できる蛍光X線CT では、生体の機能解析が可能である。また、世界で初めて生きた小動物の画像化がこれらの手法で行えるようになった。今日使用されている他の撮像技術では得られない高い空間分解能と感度を有す画像が得られる本技術は、発生過程、腫瘍・心臓・脳等の構造・機能解析、創薬研究等に利用できるものと期待される。 |

ヌードマウスに移植した大腸癌の3次元位相X 線CT 像。皮下に不整形の癌が描出され、内部に壊死部が見られる。
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