筑波大学大学院 循環器内科

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循環器内科の紹介

ご挨拶


筑波大学 医学医療系 循環器内科学
教授 青沼和隆


 平成16年4月16日、筑波大学循環器内科教室の一員となり、平成18年3月16日より教授としての私の第一歩が始まりました。筑波着任後あっという間に10年の、教授就任後8年の年月が流れ、私も62歳を数えるに至りました。私にとってはあっという間の年月でしたが、この間、国内はもとより中国やイラク等海外からの先生方の参加を含め、多くの教室員の先生方が入局されました。また、関連病院の先生方の教室に対する愛に満ちた協力と、外部の先生方からの多くの惜しみない協力により、筑波大学循環器内科教室も順調に発展して来ました。
 ここで、教室の発展に尽力頂いた多くの先生方に深く感謝の意と敬意を表したいと思います。あっという間の10年間でしたが、私自身も筑波大学に着任して大きく成長することができましたし、また教室員の諸君も着実に成長しくれているものと自負しております。
 私が教室を主宰してから最初に掲げた標語は、『最良の臨床があって初めて最良の教育・研究が可能である』と言う言葉でありました。私が教えを受けた故武内重五郎東京医科歯科大学名誉教授の言葉を私なりに解釈して最初の4年間の中期目標としました。その後の4年間の教室の目標として、『揺るぎない自信と献身』としました。医師としての自信を胸に診療に当たり、しっかりと献身的に病める患者に尽くす事を目標としています。
 ここで、我々筑波大学医療医学系循環器内科教室が目指す『揺るぎない自信と献身』を具現化する医師の姿として、教室の先生方に『病気に毅然と立ち向かう科学者としての姿』だけでなく、『病める人に誠心で向き合う人間としての姿』をも教室主宰者として求めています。これまでの所、全ての教室員諸君は私の心の奥深くまで理解し、しっかりとした医師として、また人間として社会に貢献してくれており、内外において最も優れた仲間が筑波大学に参集してくれている事が私の何よりのよろこびとなっています。今後も『病気に毅然と立ち向かう科学者としての姿』と、『病める人に誠心で向き合う人間としての姿』を胸に、気持ちを一つにして日々の臨床と研究に励んでいきたいと思っています。


筑波大学 医学医療系 循環器内科学教授

青沼和隆
平成25年 10月吉日



■21世紀超長寿社会を迎えるに当たり、日本の医療人として考える事
 

[日本人としての矜持]
 昨年9月、平成32年に夏のオリンピックが東京で開催されることが決定しました。各種報道には、東京都、日本政府の強力な肝煎りで、文字通り日本国の総力を挙げて挑んだ結果であり、日本国民の団結精神の高まりを示す事が出来、非常に喜ばしいことであるとの論調が多い様です。また、今回のオリンピック招致の成功は、デフレ脱却を目標としている現政権にとっても、経済効果などの面から喜ばしいことである事は間違いない事でしょう。しかし、単に喜んでばかりではいけないのではないでしょうか。
 昭和39年の東京オリンピック開催を、当時13歳であった1人の少年の立場から振り返って見ると、東洋の弱国であった日本の代表選手が次々と勝利する事で、私を含めた日本国民が歓喜し一体感を共有する事が出来たわけですが、日本国としては、恐らく悲惨な戦争から立ち直り、終戦後20年を迎える日本の国力発揚を国内外にアピールしたいという政治的な立場であったのではないかと考えられます。
 それに比して今回のオリンピックでは、日本がより成熟した国家に成長した証を世界に示すべき良い時であるとの考えを持つべきであると考えます。昭和オリンピックから50年を経た、現在の成熟した日本の力を世界に示すためには、自国選手の活躍に囚われず他国選手の活躍も同様に喜び、勝ち負けにこだわらず競技自身を楽しむという、成熟した日本の心を世界に示す事を心がける余裕が欲しいものです。
 日本の最終プレゼンに際し、外国からの質問が集中した原発メルトダウンと原発汚染水問題に対し、安部首相は“Everything is under control”と発しましたが、実は全くコントロールされていない状況が続いている事、更には福島県をはじめとする東北3県において、未だに22万5千人に上る方々が避難生活を強いられている事を考えると、オリンピック一色に染まって国内が浮かれることに対して、多くの国民が違和感を持っているのも事実であると思います。 更にイスラム社会においては、イラク、エジプト、次いでシリアで生じているアラブ社会の混乱解決への道筋、アラブ社会と世界との協調等、現在解決の目途が立っていない諸問題も多く、オリンピックの日本開催決定対して歓喜し、唯日本の国力を顕示する事よりも、この様な解決困難な世界の諸問題に襟を正して対峙して行く日本人の矜持を示す事の方が重要ではないかと思います。
 21世紀における日本国の立場として、国力発揚を声高に叫ぶだけでは無く、むしろ原発事故に対する根本的解決への道程を示しそれを唯黙々と遂行して行く事、アラブ社会の平和への道程に対し日本人として手を差し伸べる術を深く考え実行する事の方が、より重要な事であるとの考えは、単に私の私見ではなく、多くの日本人が共有しておられるのではないでしょうか。

[日本の医療人として21世紀に目指すべき道程]
 オリンピックに例えて言うならば、昭和39年東京オリンピックの頃には100歳以上の超高齢者人口は全国で200人に満たなかったのが、50年を経た2012年には5万人を超すに至りました。少子高齢化克服の為の施策として、第2次健康日本21が公布され、国民の健康は更に促進されると考えられ、平成32年の東京オリンピックの時期には100歳以上の長寿人口は10万人に迫る事が推測されます。
 長寿は国民全てが望んでいることであり、平均寿命の延伸自体は大変喜ばしいことです。しかし長寿とは、裏を返せば日本の近未来における人口構造が驚くほどの超速で超高齢化社会に突入することを意味しています。また、平均寿命の延長は健康寿命を延長させるというメリットだけではなく、同時に介護寿命も延長させる事になります。現在、統計的には平均寿命と健康寿命との差である介護寿命は約10年であり、この事は、日本人として最後の10年間は誰かの介護を受けて人生を終える事になるという現実を示しています。
 現代の医学は、これまで新薬と最新治療による生命予後の延長を唯一つの金科玉条としてきました。しかし新たに21世紀を迎え、我々医療人は再生医療や新薬を始めとする革新的医療技術の開発による平均寿命の延長だけでは無意味である事をしっかりと受け止めるべきではないでしょうか。むしろ全人的医療というものをもう一度考える事で、今後は長寿を幸せに思える国の姿の実現へと舵を取っていくことこそが、最も重要な道程ではないでしょうか。
 筑波大学循環器内科はこの様な考えの基、寝たきりの最も大きな原因となっている心房細動の革新的治療法の開発、更には末期心不全の革新的治療法の開発などで高齢化社会への貢献を模索しています。
 今こそ、政治の力ではなく、我々医療人一人一人の力で、長寿社会を幸せな老後社会へと変革させようではありませんか。

筑波大学 医学医療系 循環器内科学教授

青沼和隆
平成26年 1月吉日


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