日　時

2022年5月14日

受賞論文・演題名

Heart Failure-related Potential Molecule Identified by Bioinformatics analysis and Mouse Model
(バイオインファマティクスおよびマウスモデルによって同定した心不全関連分子)

受賞者

筑波大学 人間総合科学研究科疾患制御医学専攻博士課程4年
袁　梓勛 (YUAN ZIXUN)

詳細

拡張型心筋症および虚血性心筋症は主要な心不全の原因疾患ですが、共通の心不全進展因子は良く分かっていません。本研究では、RNA-seqの公共データベースのメタ解析によって、9つの心不全関連因子を明らかにしました。その中で心臓での機能が不明であった翻訳調節因子EIF4EBP3に着目し、大動脈縮窄圧負荷モデルおよび心筋梗塞モデルを作成して解析したところ、どちらの原因における不全心においてもEif4ebp3遺伝子の発現が増加していることが確認できました。またEif4ebp3遺伝子欠損マウスを作成し、大動脈縮窄および心筋梗塞モデルでは、野生型マウスと比較し、Eif4ebp3遺伝子欠損マウスの方が生存率が高く、左室駆出率も保たれることが明らかとなりました。本研究では、バイオインフォマティクス解析およびマウスモデル解析という2つのアプローチを用いて、EIF4EBP3というこれまで心臓における機能が不明だった分子が心不全進展に関わっており、Eif4ebp3遺伝子欠損によって心不全進展が抑制されることを初めて示しました。