ご挨拶

教授 井上 貴昭 (Yoshiaki Inoue)




このたび、筑波大学附属病院救急・集中治療部 教授を拝命し、2016年2月1日に着任致しました井上貴昭(いのうえよしあき)です。私は1993年に筑波大学を卒業後、日本の救急医学の老舗ともいうべき大阪大学特殊救急部で研修を開始し、現在の水戸医療センター外科、大阪府立急性期総合医療センター、そして大阪大学高度救命救急センターにおいて、主に外傷外科、熱傷、重症集中治療の診療に取り組んで参りました。その後、University California San Diego, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard University Medical Centerに研究留学の後、2008年より順天堂大学浦安病院救急診療科において、救命センターの新規立ち上げに参画する機会をいただきました。そしてこのたび、母校の救急・集中治療部の更なる拡充と、学生・研修医時代に10年間過ごした愛着のある茨城県の救急医療体制の発展に貢献するべく、赴任させていただきました。

 救急で扱う急病や事故は、大きなものから小さなものまで、誰もが一度は必ず経験される、人々に最も近い医療です。その意味において救急医療は、社会に最も密接した、医療の原点です。そのため、社会が変われば、救急医学に求められるニーズは自ずと変化を遂げます。私が生まれた1960年台は、戦後から復興を遂げ、経済発展の弊害として、労働災害や、交通戦争たる用語に代表される交通事故犠牲者の急増の一方で、外傷を中心とする救急患者に対応できない病院診療体制から”たらい回し”なる用語が生まれた頃でした。1970年より、このような外傷患者に対応できる病院機関として、全国各地に救命センターが認可され、現在では全国に280近くに増設されています。従って当時の救急医といえば、外傷外科を中心とする重症集中治療に重きが置かれた時代であり、自身もこの外傷外科医をめざして卒後研修に臨んで参りました。しかし時代は移り変わり、卒後20余年を経た現在は、医療が高度専門分業化する一方で、専門外を理由に救急患者の受け入れ対応ができないケース、高齢化社会の結果、急増する救急搬送患者に対応しきれないケース、更には救急スタッフ確保の困難と疲弊による救急告示病院の激減などが相次ぎ、再度”救急患者のたらい回し”なる用語が再来することとなりました。その結果現在では軽症から重症、内因性疾患から外因性疾患まで広くカバーできる北米型ERの診療体制が見直され、いわゆるER診療と集中治療を合わせて実施できる救急医が求められるようになりました。更に昨今は、阪神淡路大震災や、先の東日本大震災に代表される大規模災害にも対応できる有事でのリーダーシップや、ドクターカーやドクターヘリに代表される病院前診療、そして社会における救急医療体制全体をマネージメントするメディカルコントロールの中心的役割が求められるようになりました。加えて現在の救急医には、院外心肺停止に対する緊急処置の教習や、院内急変患者対応などの教育者としても、そのニーズが求められ、与えられる任務と責任は年々高度多角化してきています。
 このように、救急医は時代と、社会と、地域のニーズによって姿形を変えていく必要があります。自分自身も外傷外科一辺倒の時代から、新しい救命センター立ち上げやER診療の経験を経て、多職種連携、複数診療科によるチーム医療の重要性を体感致しました。現在の救急医学は、専門技術の高度化、医療機器の進歩により、ますます専門的知識が要求される時代になってきております。従って、これからの救急医療の展開には、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床工学士、理学療法士などの多職種の連携と、複数診療科医師による専門診療の連携による、チーム医療の充実化が必須です。このようなチーム医療の実践において、救急医は扇の要となり、時にまとめ役となるオーガナイザーとして、時に指揮棒を振るコンダクターとして、様々な顔を持ち合わせる必要があります。筑波大学の多職種スタッフ、複数診療科医師が密に連携して、地域のみなさまが安心して過ごせるセーフティーネットを構築するため、当院救急・集中治療部を充実させ、病院全体、そして地域全体のサポート体制を確立させていきたいと思います。
 元より茨城県は全国的にも1,2位を争う医師不足地域であり、中でも救急医療を支える専門医数は人口比あたり全国ワースト10位に入る状況です。従って救急医療を支える次世代の数多くの若手救急医の育成が急務です。今後筑波大学における救急・集中治療診療グループを再構築し、県内及び日本国内からも注目されるような、臨床、教育、研究の中心的施設として機能するよう、努力して参ります。自身の20余年に渡る救急医としての臨床経験と研究者としての経験を生かし、大学病院に求められる臨床と研究、そして次世代を担う若手医師・学生、多職種の教育に力を注いで参りたいと思います。



専門
救急医学
集中治療医学
外傷外科学
熱傷学
感染症
経歴
筑波大学卒(1993)
大阪大学医学部附属病院特殊救急部(1993-1994)
国立水戸病院外科(1994-1998)
大阪府立病院救急診療科(1998-2001)
大阪大学附属病院高度救命救急センター(2001-2005)
University of California San Diego(2005-2007)
Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard University Medical School(2007-2008)
順天堂大学浦安病院(2008-2015)
資格
博士(医学)
日本救急医学会専門医
日本救急医学会指導医
日本外科学会専門医
日本外科学会指導医
日本外傷学会外傷専門医
日本熱傷学会専門医
日本集中治療医学会専門医
厚生労働省麻酔科標榜医
日本医師会認定産業医
ICD(インフェクションコントロールドクター)
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日本救急医学会評議委員
日本外傷学会評議委員
日本中毒学会評議委員
日本救急医学会関東地方会幹事

スタッフ紹介

副部長(病院教授) 河野 了
(Satoru Kawano)

専門 
救急医学
集中治療医学
循環器病学
経歴
筑波大学卒
資格 
博士(医学)
日本内科学会認定医
日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会指導医
日本循環器学会専門医 

准教授 長谷川 隆一
(Ryuichi Hasegawa)


専門
集中治療医学
呼吸器内科学
救急医学
麻酔科学
経歴
1990年 東北大学卒
資格
日本集中治療医学会専門医
麻酔科学会専門医
JPTEC インストラクター
BLS インストラクター
日本DMAT隊員

講師 下條 信威
(Nobutake Shimojyo)

専門
救急医学
集中治療学
循環器病学
経歴
筑波大学卒
資格
博士(医学)
日本内科学会認定医
日本内科学会指導医
日本DMAT 隊員

講師 西野 衆文
(Tomofumi Nishino)

専門
救急医学
集中治療学
整形外科学
経歴
筑波大学卒
資格
博士(医学)
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本オリンピック協会強化スタッフ(医・科学)
日本バレーボール協会メディカル委員会
日本DMAT 隊員


講師 丸島 愛樹
(Aiki Marushima)

専門
救急医学
集中治療医学
脳神経外科学
経歴
筑波大学卒 
筑波大学大学院 人間総合科学研究科卒
ドイツ学術交流会(DAAD) 奨学生
Charité - Universitätsmedizin Berlin, ベルリン医科大学脳神経外科(ドイツ)留学
資格
博士(医学)
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経外科学会指導医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医

病院講師 榎本 有希
(Yuki Enomoto)

専門
集中治療医学
救急医学
小児科学
経歴 
2003年 筑波大学卒
資格
日本集中治療医学会専門医
日本救急医学会専門医
日本小児科学会指導医
日本DMAT隊員(統括)
PALS インストラクター
HMIMMSインストラクター

病院講師 小山 泰明
(Yasuaki Koyama)

専門
救急医学
集中治療医学
熱傷医学
総合内科学
蘇生学
外傷医学
小児救急医学
経歴
2004年 筑波大学卒
資格
日本集中治療医学会専門医
日本救急医学会専門医
日本内科学会認定医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医
日本プライマリ・ケア連合学会指導医
日本熱傷学会専門医
日本医師会認定産業医
ICD(インフェクションコントロールドクター)
BLS インストラクター
ACLS インストラクター
PALS インストラクター
ITLS インストラクター
JPTEC インストラクター
日本DMAT隊員

病院講師 松本 佑啓
(Yukei Matsumoto)

専門 
救急医学
集中治療医学
整形外科学
経歴 
2004年 筑波大学卒
資格 
日本整形外科学会専門医
日本DMAT隊員

病院講師 平谷 太吾
(Daigo Hiraya)

専門
救急医学 
集中治療医学
循環器病学(虚血性心疾患)
経歴
2007年筑波大学卒
資格
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会認定医

病院講師 柳澤 洋平
(Youhei Yanagisawa)

専門
救急医学 
整形外科学
経歴
2008年筑波大学卒
資格
日本整形外科学会専門医


病院講師 星野 哲也
(Tetsuya Hoshino)

専門
集中治療医学
救急医学 
経歴
2009年 群馬大学卒
資格
日本集中治療医学会専門医
日本救急医学会専門医
CVCインストラクター

病院講師 鈴木 貴明
(Takaaki Suzuki)

専門
救急医学
国際保健 
経歴
2011年 筑波大学卒
資格
日本救急医学会専門医
ICLS ディレクター
JATEC インストラクター