入局・大学院を希望される皆様へ

研究テーマ

RNA研究グループ



アンチセンスRNAとは?

図1
 DNAはたんぱく質の設計図として働き、2本鎖からなるらせん状を呈しています。遺伝情報を持つのは通常そのうち1本だけであり、転写されてアミノ酸の設計図であるセンスRNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)になります。遺伝情報を持たないDNAの鎖から転写されたRNAをアンチセンスRNAといいます。(図1)
 転写されたセンスRNAとアンチセンスRNAは互いに相補的であり、2本鎖RNAを形成することが可能で、遺伝子の発現調節を行っていることが考えられます。

 

なぜアンチセンスRNAに注目しているのか?

図2
 近年、DNAからメッセンジャー(センス)RNAの転写が起きる際、約70%の遺伝子においてその相補的なRNAであるアンチセンスRNAが同時に転写されていることが明らかになってきました。
 また、アンチセンスRNAが一部の癌抑制遺伝子をエピジェネティックに制御し、蛋白質の発現を抑制している可能性があることも報告されました(Yu W et al, Nature 2008)(図2)。
 癌は世界各国で増加しており、発癌解明のため、これまで遺伝子解析を含め、多くの研究がなされてきました。ただ、これまでの遺伝子解析では、癌の発生メカニズムの解明や癌の層別化は十分に行えていないのが現状です。こういった流れの中で、癌の研究においてもアンチセンスRNAがますます重要性を帯びてきており、当研究室ではこのアンチセンスRNAに注目し、研究を行っています。

 

血液を用いたRNAの解析

 これまでの癌に関連したRNAの検索は組織が中心でしたが、血液中のRNAに関する研究も行われ始めています。近年、血液中には消化器の臓器に発現している遺伝子の80%以上が含まれることが報告され(Liew CC et al, J Lab Clin Med, 2006)、発現している遺伝子の中には疾患特異的に変動するRNAも含まれており、癌特異的なセンス・アンチセンスRNAの発現変化が血液中でも起こっていると推測されます。当研究室では組織の解析に加えて、血液のRNAにも注目して研究を行っております。

主な論文

  1. Differential expression profiles of sense and antisense transcripts between HCV-associated hepatocellular carcinoma and corresponding non-cancerous liver tissue.Nagai K, Kohno K, Chiba M, Pak S, Murata S, Fukunaga K, Kobayashi A, Yasue H, Ohkohchi N. International Journal of oncology. 2012 Feb 21
  2. Elevation and characteristics of Rab30 and S100a8/S100a9 expression in an early phase of liver regeneration in the mouse.Chiba M, Murata S, Myronovych A, Kohno K, Hiraiwa N, Nishibori M, Yasue H, Ohkohchi N. International Journal of molecular medicine. 27: 567-574, 2011
  3. Identification of natural antisense transcripts involved in human colorectal cancer development. Kohno K, Chiba M, Murata S, Pak S, Nagai K, Yamamoto M, Yanagisawa K, Kobayashi A, Yasue H, Ohkohchi N. International Journal of Oncology. 37(6);1425-1432.2010