入局・大学院を希望される皆様へ

レジデント教育

到達目標

卒業後7年間(研修医終了時点)で中難易度の消化器外科手術を自ら主体的に行う事ができ、かつ高難易度の手術の術者又は第一助手が務められる能力を身につける事を目標にします。また、消化器外科疾患に対して術前、術後を通して自ら責任を持って診療できる事はもとより、消化器疾患にとらわれずに患者さんを総合的に治療出来る外科医の育成を目指します。


研修の概略

7年の研修は以下の4つの要素により成り立っています。

(1) 初期研修 (3年間)
(ア) 大学病院でのスーパーローテート・・・2年
(イ) 大学病院での外科ローテート・・・・・1年

(2) 消化器外科研修 (4年)
(ア) 大学病院での消化器外科研修・・・・・2年
(イ) 大学病院以外の病院での研修・・・・・2年

スーパーローテートの終了時に消化器外科医になる事を希望したあなたは、我々のグループの一員としてのトレーニングを3年目から受ける事になります。消化器外科に専念してトレーニングを受けるのは4年目からで、後期4年のうち、2年間は大学で、残りの2年は大学外の病院での研修を行なう事を基本としています。スーパーローテートと合わせて卒後7年で消化器外科医として市中の一線病院に巣立って行く事になります。


大学病院での初期研修(スーパーローテート)

最初の3年間は外科にとらわれず、広く医師としての基礎トレーニングを受ける筑波大学付属病院の研修プログラムに参加する事になります。すなわち、内科、麻酔科、産婦人科、小児科、救急医療、外科等の科を2-4ヶ月毎に移動していきます。内科・外科の中にはそれぞれ循環器、呼吸器、消化器、代謝・内分泌、脳神経等の専門があり、全ての科を網羅する事は出来ませんが、自らこのプログラムを有効に活用し、十分に基礎臨床能力を高めた状態で消化器外科研修に移行してきてください。2年目の終わりには、あなたは消化器外科医になる決意を固め、3年目は外科グループ(循環器・呼吸器・代謝内分泌・小児・消化器)をローテーションする事になります。

【初期2年間の研修で執刀医となる手術手技】
開腹操作、閉腹操作、鼠径ヘルニア、 痔核結紮術、腸瘻造設術、虫垂切除術、 癒着を伴わない開腹胆嚢摘出術 等

【初期1-2年目の研修で習得する手技】
清潔操作の習得、創傷治癒機転をふまえた創処置、末梢静脈ルート確保、動脈穿刺・採血、経鼻胃管挿入、尿道カテーテル挿入、直腸指診 等

【初期2-3年目の研修で執刀医となる手術手技】
人工肛門造設術、胃切除(幽門側)、S状結腸切除術、横行結腸切除術

【初期2-3年目の研修で習得する手技】
腹腔穿刺、胸腔穿刺、中心静脈ルート確保、イレウス管挿入


大学病院での消化器外科研修

大学で行われる手術は市中病院で行なわれるものより大きく、複雑である事が多くあります。消化器病だけではなく他の合併症を伴っている事も多く術前・術後により細かな管理が必要となります。そういった複雑な症例に対して、どういうアプローチをしていくのかを体で経験して行ってください。大学での研修の長所は色々な医師の意見・経験を見聞き出来る所にあります。我々のグループには色々な異なる施設で経験を積んできた日本のトップレベルのスタッフが集まっています。同じ症例に対しても手術法や治療法について随分と違った意見がある事に驚かれるかもしれません。普段は仲の良いスタッフが、カンファレンスで喧嘩さながらの激しい議論を闘わせる事があります。是非、こういった色々な考え方の中から自分にあったものを身に付けてもらいたいと思います。  大学にいる間、自らが執刀医として経験を積む数は決して多くはありません。一方で、1例1例の症例を大切にする事が求められます。シャウカステンに並べた術前検査の写真とにらめっこをしながら、手術の展開を予想した“術前サマリー”を書き、内科・放射線科医の前でプレゼンテーションを行う。術後には自分の予測とどこが同じで、どこが違っていたのか反省する“術後サマリー”を書き、外科のスタッフの前で手術手順を反復する。術後の経過も毎日細かくチャーテイングし、チーフレジデントと翌日の指示を相談しながら決定する。最初は非常に時間をとられる、一見、非効率的に思えるこういった作業を体に染み込ませる事が、あなたの消化器外科医の一生に必ず役に立つのです。

【シニアレジデント研修で執刀医となる手術手技】
胃切除(幽門側)、S状結腸切除術、横行結腸切除術、右半結腸切除、左半結腸切除、回盲部切除、腹腔鏡下胆嚢摘出術、総胆管切開載石T-tubeドレナージ術、消化管バイパス術、腸瘻造設術、人工透析シャント造設術、CAPDカテーテル挿入術 等

【シニアレジデント研修で習得する手技】
上部消化管内視鏡、上腹部造影検査, 下部消化管造影検査、腹部超音波、中心静脈栄養ルート刺入、イレウス管挿入、経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)、SBチューブ挿入、ショルドンカテーテル刺入 等


院外研修

大学外の市中病院の魅力は、何といってもスピード感と独立感でしょう。患者さんの入院から治療方針の立案、手術、術後管理、退院、外来までの一連の流れが速く、一人前の医師として判断を任される事も多くあります。やはり、外科医は手術を何件こなしてなんぼの世界です。多くの手術に立ち会い、術者としての経験を積み、みるみる“消化器外科医”になっていく自分を感じられる事でしょう。この期間には1年間で120~150例の手術 (術者または第一助手)を経験する事を目安にしています。第一線の病院を引っ張ってきた先輩医師の武勇伝を聞きながら、将来の自分を重ね合わせる事でしょう。大学での研修と違い、給料もようやく同年代のサラリーマンと同じくらいは貰えるのでは・・・。筑波大学消化器外科では、これらの研修協力病院と密に連絡をとり、充実した研修生活を送れるようにしています。

研修病院

筑波メディカルセンター病院、ひたちなか総合病院、友愛記念病院、水戸医療センター、水戸済生会総合病院、日立総合病院、 龍ヶ崎済生会病院、西南医療センター、聖隷佐倉市民病院 、東京都立駒込病院 等 (順不同)


チーフレジデント

研修の最終学年、7年目はチーフレジデントとして特別な意味を持ちます。院外研修も終えて一通りの手術を経験してきたあなたは、6-8人のレジデントの“頭”として、大学病院病棟マネージメントの要になります。大学病院には50人ほどの患者さんが入院していますが、その全ての患者さんの病態を把握し、治療計画をたて、手術にたずさわり、次々と発生する問題に適切に対処するのがチーフレジデントです。もちろん、教授を始めスタッフ全員が患者さんの治療に責任を持っていますが、誰よりも患者さんの身近にいて頼りにされる存在になって下さい。適材適所に人員を配置し、必要に応じてスタッフと議論を交わし、“安心して病棟を任せられる医療チーム”を作ってください。看護師やパラメデイカルの人たちとの橋渡しをして病棟を円滑に運営するのも大事な仕事の一つです。外科医として執刀する手術も難易度が上がり、その能力、頑張りによっては食道がん、肝臓がん、膵がん、直腸がん等の執刀医になる事も可能です。駆け出しの医者から“いつか自分もあんなチーフになりたい”、そう憧れられる存在にあなたもなってください。 【チーフレジデント研修で執刀医となる手術手技】 左開胸開腹下部食道切除術、噴門側胃切除術、胃全摘術、肝部分切除術、肝左葉切除、膵体尾部切除術、脾臓摘出術、低位前方直腸切除、癒着剥離を要する(手術既往や炎症を伴う)開腹手術、合併症を伴うPoor risk患者の開腹手術 等   【研修終了前に、技術到達に応じて執刀医となる可能性がある手術】 右開胸開腹胸部食道切除術、膵脾合併切除を伴う胃全摘術、肝右葉切除、膵頭十二指腸切除術、腹会陰式直腸切断術 等   【チーフレジデント研修で習得する手技】 下部消化管内視鏡、内視鏡下粘膜切除術、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP), 経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD) 等


7年間の研修が終わったら・・・

下記に示す第一線の病院に“就職”するのが一般的です。ただし、定年まで1ヶ所の病院に勤める事は稀で、3年~5年程度で別の病院に移動する事があります。

就職予定病院

筑波メディカルセンター病院、つくばセントラル病院、筑波学園病院、霞ヶ浦医療センター、水戸医療センター、水戸協同病院、水戸中央病院、水府病院、ひたちなか総合病院、つくば双愛病院、総合守谷第一病院、きぬ医師会病院、龍ヶ崎済生会病院、友愛記念病院、聖隷佐倉市民病院等、東京都立駒込病院 (順不同)


大学院進学について

医者は、外科医は一生涯勉強をし続ける事を求められます。ただ既成の知識や経験を学ぶだけでなく、目前に起こっている事象の問題点を抽出し、整理し、他人にプレゼンテーションし、解決法を模索し・・・・といった、直面する現象を科学する力が必要になります。私たち、筑波大学消化器外科では、若き消化器外科医が一時期、研究に没頭する期間を持つ事を勧めています。大学院に行く時期は、消化器外科医としての研修が一段落する5年目(スーパーローテートの3年+消化器外科の研修が2年間終わった時点)、もしくはレジデント研修を終えた7年目が適切だと考えていますが、周囲の状況と調整しながら臨機応変に対応する事が可能です。「よし、この人と一緒にこういった事を解明してやろう!!」と思えるような指導教官に巡り合い、「臨床研修を一時休んでも研究したくなった」時期が、大学院へ進む良い時期だと思います。具体的なテーマが決まらなくても、その意欲があり、研究に興味が有る場合は遠慮なく相談に来て下さい。