褐色細胞腫におけるコハク酸脱水素酵素遺伝子(SDHB/SDHD )解析について

最近、コハク酸脱水素酵素遺伝子(SDHX)変異が褐色細胞腫の原因として注目されております。その理由としましては、1)欧米の報告ではSDHBおよびSDHDの変異の頻度は全褐色細胞腫それぞれ約5%を占めるとされ、決して希な疾患でないこと。2)ごく最近、家族性のみならず臨床上散発性の褐色細胞腫においても同様な頻度で同変異が認められると報告されたこと。3)SDHBの変異は腹部のパラガングリオ−マを主徴とし高率に(8割以上との報告もある)遠隔転移、つまり悪性褐色細胞腫を引き起こすこと。4)SDHDの変異は頚動脈小体 (carotid body)の腫瘍を主症状とする多発性パラガングリオ−マを引き起こすこと。 

私たちの研究グループでは、学内の倫理委員会で承認を得て、表記遺伝子SDHB/SDHD)の解析を進めてまいりました。現在までに17例の褐色細胞腫の遺伝子を解析し、2例のSDHB, SDHDそれぞれに新規の変異を見つけております。

現在、欧米では褐色細胞腫におけるSDHBおよびSDHDの遺伝子解析は盛んに行われております。一方、日本においては病名すらほとんど認知されてないのが現状です。従いまして、今後、より多くの症例を解析することで、わが国における頻度および臨床的意義の検討が是非必要と考えております。

パラガングリオ−マや悪性例のような症例をお持ちで、ご興味もしくはご賛同いただけるようでしたら、下記の竹越または磯部までご連絡いただけると幸甚に存じます。結果に関しましては、共同研究という形で発表させていただきます。

また、当該遺伝子解析は、我が国の悪性褐色細胞腫の実態把握と診断・治療法の確立を目標に京都医療センタ−の成瀬光栄先生が立ち上げられた「悪性褐色細胞腫 多施設共同研究」とも密接に連動しており、竹越は構成員の1人として遺伝子解析を担当しております。 

 

305-8575

つくば市天王台1-1-1

筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床分子病態検査医学 

助教授 竹越一博(計画実施責任者)

TEL/FAX0298-53-3389  E-mail:  K-takemd@md.tsukuba.ac.jp

講師 磯部和正

TEL/FAX 029-853-3054 E-mail k-isobe@md.tsukuba.ac.jp


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