SDHとは?

 ミトコンドリアは、ほとんど全ての生物の細胞に含まれる細胞小器官です。ミトコンドリアの主要な機能は電子伝達系による酸化的リン酸化によるエネルギー産生ですが、最近アポトーシス(細胞がその命を自ら絶つこと)や生体の酸素の状態をモニターする働きなど多岐にわたることがわかってきました。コハク酸脱水素酵素(複合体 II )とは、ミトコンドリアに存在しTCA回路および電子伝達系酵素複合体、両方の構成員として作用しており、以下の4つのサブユニットから構成されています。Fbサブユニット、IPサブユニット、これらを内膜につなげるアンカーとして働きヘムを有しているCybLCybSです。これらのサブユニットはそれぞれSDHA・SDHB・SDHD・SDHC遺伝子が対応しており、それらがタンパク質に翻訳されたものです。これらの遺伝子は大腸菌から人間まで多くの生物に共通して存在し、エネルギー産生を行うために必要なタンパク質を作っています。HPPSの患者さんではこれらの原因遺伝子のどれかに生まれつきの異常があり、ミトコンドリアの働きが低下しているために、低酸素に反応する遺伝子の調節障害やミトコンドリアを介するアポトーシスに問題があることが推察され、最終的に腫瘍にかかり易くなるものと考えられています。HPPSの原因としてはSDHB・SDHD・SDHC遺伝子変異が知られております。

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