抗シトルリン化ペプチド抗体に関する研究

関節リウマチの病態には抗シトルリン化ペプチド抗体の関与が考えられており、抗CCP (cyclic citrullinated peptide) 抗体検査が診断の重要なツールになっています。しかし、その関節炎原性は解明されていません。一方、我々が注目しているGPI(Glucose-6-phosphate isomerase)は解糖系酵素の一つですが、マウスモデルで関節炎原性が示されており、ヒトの関節リウマチにおいても12〜15%で抗GPI抗体が陽性であり、関節炎の活動性や関節外病変との関連が報告されています。このGPIのアミノ酸配列をもとに作成した環状シトルリン化GPIペプチド(cyclic citrullinated GPI peptide: CCG)に対する自己抗体の存在を調べたところ、健常人、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群と比べて関節リウマチで特異的に認められることがわかりました。現在、この抗CCG抗体をもとに、関節リウマチにおける抗シトルリン化ペプチド抗体の病態への関与、特徴について研究を進めています。

【関節リウマチにおける抗CCG (cyclic citrullinated GPI peptide) 抗体】

関節リウマチ(RA)患者と健常人(HC)の血清を用いて9種類の抗CCG抗体を測定したところ、関節リウマチで6種類の抗体(CCG-1,CCG-2,CCG-3,CCG-4,CCG-7,CCG-8)が上昇していました。

      

これらの抗体は全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群では上昇しておらず、関節リウマチに特異的にみられる抗体であると考えられます。現在、治療に伴う抗体価の変化やこの抗体の関節炎原性について解析を進めています。