1. 癌の発生、進展の分子レベルでの解析 癌の予防、早期発見をするためにはその発生、進展機構の解明が不可欠である。そこで腫瘍部・正常部の間、また、悪性度の低い腫瘍と進行した腫瘍との間に起きている遺伝子発現の差異を検出する研究を行っている。当研究室では主に、肺癌について臨床検体やマウス発癌モデルを用いて、腫瘍の発生・浸潤などに関与する遺伝子の網羅的解析を行っている。 |
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2. 発がん機構とメチル化の解析 癌の多段階は継がんと呼ばれる遺伝子異常の蓄積によって発生する。メチル化はその遺伝子異常の原因の一つであり、それを検出することで発がんに関与する遺伝子の検出を行っている。また、サブトラクション法を応用した新規メチル化領域の網羅的解析も行っている。 |
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3. 肝幹細胞の分化機序の分子生物学的解析 幹細胞は分化・増殖能を持つ細胞であり、肝臓自体も再生能のある組織である。そのことから、肝幹細胞の培養法の確立や分化機構の解明は、再生医療において重要な意味を持つ。現在、豚の組織を用いて肝幹細胞の分離・培養方法の確立、分子生物学的手法による特異的発現遺伝子の同定を行っている。 |
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![]() 肝幹細胞の凝集塊 |
![]() 幹細胞が形成した胆管様構造 |
![]() 分化関連構造蛋白の発現 |
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4. 前立腺癌の腫瘍形成部位の検出法の確立 近年、増加傾向にある前立腺癌は、癌の発生領域によって癌の悪性度(進行速度・転移能・生命予後等)に差が見られる。一般的に、辺縁領域から発生する癌は悪性度が高い傾向があるが、手術前の血液検査か生検標本だけでは、癌の発生領域を区別することはできない。現在、各領域の蛋白質に特異的なモノクローナル抗体の作成を行っており、これは将来検査段階で癌の特性を判別し、治療計画を立てるために利用される。 |
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