医学系における研究

看護科学研究

看護学の研究対象は看護の専門技術や、胎児を含めたこどもから高齢者まであらゆる人々が抱える健康問題まで幅広いことが特徴です。高齢化社会、医療の高度化、国際化社会が進む現在、看護学における研究テーマは多岐にわたっており、研究成果が臨床現場で応用され、人々の健康維持・増進のために活かされています。

高齢者の生活リズムの変調に対する看護介入の効果を評価する研究

高齢者の3 割が睡眠覚醒障害をもつといわれています。不眠は、免疫力を低下させるだけではなく、うつ状態や認知症の発症に関連し重大な健康問題であると捉えることができます。北海道から沖縄まで、高齢者の皆さんの生活リズムと睡眠の質について調査と測定を行った結果、概日リズムの同調因子(光、運動、食事、社会的交流)と生活習慣病および嗜好品などが強く関与していることが見出されつつあります。このような実態から、生活リズムを調整する看護介入の意義と効果を評価する方法を開発しています。医療費高騰のおりから、睡眠薬による対処と比較した看護介入による医療経済効果についても検討しています。

測定器

グラフ

国際発達ケア研究・コミュニティ・エンパワメントと生涯発達ケアに関する研究

子どもからお年寄りまで、一生涯にわたる発達を踏まえながら、当事者の力を引き出すエンパワメントを科学する研究を行っています。エンパワメントとは「元気になる、元気を引き出す、一緒に元気になる」こと。誰もが持っている限りない可能性や力を最大限に発揮できる環境を整える方法を科学します。諸外国と共働しながら、個人や組織、地域の力を引き出すコミュニティ・エンパワメントの仕組みづくり、よりよいケアの実現を図ります。

国際Care

パプアニューギニアの子どもたち。感染予防のための健康教育の仕組み作りが大切。

保健師教育のあり方・保健師活動に関する研究

少子高齢化の急速な進展、生活習慣病の増加等、疾病予防のための保健指導、介護予防など、地域保健活動の重要性が今日ますます高まっています。そのような状況に対応できる保健師などの地域保健従事者のあり方を追求するために、教育環境の現状と課題を科学的に分析し、今後の方向性を示唆する研究を行っています。具体的には大学における地域看護学の履修時期、地域看護学の特徴を明確にする研究、また現任保健師教育の現状と課題を分析し、保健師育成指針、プログラムを作成し、提唱しています。今後は、保健師が用いるスキルを抽出し、その体系化を試みる研究を進めていく予定です。

小児患者への病気説明の援助に関する研究

我が国の医療現場において、インフォームドコンセントが様々な場面で導入されてきています。では、子どもに対してはどうでしょうか?子どもにも子どもなりのインフォームドコンセントがあり、インフォームドアセントといわれています。子どもたちへの説明に必要なのは、子どもの興味を引き出し、子どもの言葉で理解を促すことです。そのために子どもの発達段階に応じた説明の方法や意思確認、同意の取り方があります。私たちは、入院や痛みを伴う処置、様々な制限などの説明に関して、子どもを主体とした看護援助を提案しています。

補完代替療法の身体に及ぼす影響と看護実践への応用

補完代替療法というのは「通常医療の代わりに用いられる医療」のことで、鍼灸や漢方に代表される中国医学、欧米で盛んなハーブ療法などが含まれます。日本でも一部の領域でアロマセラピーや音楽療法が取り入れられていますが、まだ一般的な使用には至っていません。その理由の1つにはっきりとした効果がわからない、つまり科学的根拠が少ないということがあげられています。私たちは心地好い香りを嗅いだときや静かな音楽を聴いたとき、身体にどのような影響が出るのか調べ、看護実践の場での活用について取り組んでいます。ストレスの多い療養環境・社会の中で少しでもリラクゼーションが得られ、健康増進につながるケア方法を考えています。