情報医学研究部門
医学Dx基盤開発分野

研究概要

医学医療分野において、医療ビッグデータの利活用は極めて重要な課題です。全国的に蓄積された電子医療情報は日本の貴重な公共財産であり、これら医療データを研究・分析に供し、最終的にその成果を国民全体へ還元することは医学界全体の大きな使命であると言えます。医学Dx基盤開発分野では、数理情報学の視点から医療データを利活用する研究開発に取り組んでいます。

研究キーワード

情報基盤、データサイエンス、データマイニング、医療ビッグデータ、プライバシー保護、ネットワークセキュリティ

研究トピック

(1) 医療データマイニング・医療AI

医療ビッグデータは多大な応用の可能性を持っています。例えば、近年深層学習を用いた人工知能(AI)の社会への応用が進んでいますが、医療AIの開発に医療ビッグデータは必要不可欠です。また、医療AIなどのような最先端の研究だけでなく、医療ビッグデータは新薬の開発や既存治療法の評価に非常に効果的です。さらに、個人に特化した医療を提供する精密医療、病にかかる前にそれを予測・予防する疾患制御法の開発など、イノベーションを大いに促進することも期待されています。
当分野ではこのように医療ビッグデータから新たな知見を引き出し、医療の質の向上や基礎研究に貢献するために、数理・情報学分野の知識も含めた統合的な解析に取り組んでいます。

(2) 附属病院医療データの利活用

筑波大学附属病院は研究機能も兼ね備えた医療機関でもあり、診療の中で得られた貴重なデータが日々蓄積されています。しかし診療データを、得られた形(生データ)そのままで統計解析に用いたり、AIの学習に用いたりすることは困難です。そのため、生データを分析しやすい形に前処理する必要がありますが、データには現れてこない、実際の臨床現場ならではの専門知識がなければデータの意味を解釈できない場合が多々あります。当分野では大学附属病院の強みを生かし、まさにその情報が生み出される臨床現場にいる専門医と直接連携しながらデータの吟味・前処理に取り組んでいます。

(3) プライバシー保護

一方で、医療データは患者さんの病歴など機微情報の塊であり、厳重に保護しなければなりません。そのため、各種法令や研究倫理を遵守し個人のプライバシーを保護しつつも、できるだけ研究・開発に必要な情報を残すように情報を加工する必要があります。当分野では、大規模なデータを解析するための環境整備、各種法令や利用する医療データが定めるセキュリティ要件を満たすための環境構築などを行っています。


部門長

教授 西山博之

分野長

助教 讃岐勝




主任研究員