筑波分子医学協会 設立趣意書 
 近年の生化学・分子生物学の進歩は,医学研究と診療活動全般に大きな影響を与えています.生体の成り立ちの生化学的な解明と遺伝情報の網羅的な解明が進み,生命現象の包括的な理解や疾患病因の正確な理解のためには,いまや分子レベルでの解析とそこから得られる情報が必須のものとなっています.このような方向性は,今後の「分子医学(Molecular Medicine)」時代の到来を予見させます.また,このような進歩を受けて,現在では,統合された生体機能の解析をめざす機能ゲノム科学研究が,また,複合的・学際的な研究領域の創成をめざすゲノミクス・プロテオミクス研究が,さらに,個々人の体質に合わせた薬物療法の完成をめざすゲノメディシン研究が,それぞれ強力に推し進められています.
 このような時期に,従来,筑波大学基礎医学系の生化学・分子生物学研究者が実施いていた「生化学・分子生物学連絡会」と「生化学・分子生物学セミナー」を発展させ,「筑波分子医学協会」を設立することは,筑波大学と筑波地区での関連研究組織における分子医学研究の発展のために極めて重要であると考えます.
 筑波分子医学協会(TSMM; Tsukuba Society for Molecular Medicine)は,筑波地区における分子医学研究の発展のために、1)「筑波分子生命科学セミナー」等の分子医学に関する先端的研究セミナーの開催,2)筑波地区における分子医学研究者間での情報交換と研究紹介の促進,3)分子医学に携わる研究機関の設備・システム・人材の充実へ向けた活動,4)若手分子医学研究者の教育と活動支援,に積極的に取り組むことを目標にします.すなわち,本協会の主任務の1つは,研究内容紹介と意見交換の場を定期的に設け,研究者間の情報交換を促進することにあります.また,このような情報交換のなかから生まれる新しいプロジェクト研究を推進し,研究活動の実績をあげて,その成果を内外にアピールしていくことにあります.このような活動が,筑波地区全体の分子医学研究発展の基礎を形成するものと考えます.

2002年1月
発起人
筑波大学 基礎医学系
山本 雅之,桝 正幸,永田 恭介,高橋 智,坂内 四郎,三輪 正直
石井 哲郎,内田 和彦,峯岸 直子