第233 回つくば分子生命科学セミナー
第27回免疫学セミナーのお知らせ

演者:樗木俊聡先生

秋田大学医学部病理病態医学講座
生体防御学分野 教授

平成18年 10月13日(金)
午後17:00-18:30

医学系学系棟 4B482


講演内容: 
1984 年、徳永らはBCG から抽出したDNA 分画が強力なインターフェロン誘導能
を有することを報告した。さらにその活性中心がシトシンとグアニンを含むパ
リンドローム(回文)配列であることを示し、CpG の名を提唱した。CpG は細菌
やDNA ウィルスに特徴的に観られる配列であり、シトシンのメチル化率が極端
に低い。これとは対照的に、脊椎動物ではCpG 配列はほとんど認められず、稀
に認められてもメチル化されている。非メチル化CpG は強力なアジュバント活
性を有することが知られており、DC やB 細胞に発現しているToll 様受容体(TLR)
9 に結合することで、それら細胞の活性化を誘導する。それ故、さまざまな感
染症、がん、アレルギーなどの予防や治療に有効なワクチンへの応用が模索さ
れている。CpG による免疫賦活機構に関する研究は、これまでに多くの研究者
がさまざまな知見を蓄積してきており概ねやり尽くされた感すらあったが、最
近の筆者らの研究により、インターロイキンー15(IL-15)がCpG による免疫
賦活に必須であることが明らかになった。本セミナーでは、その詳細な役割を紹介したい。

参考文献:
1. 桑島精一、樗木俊聡IL-15 による自然免疫賦活メカニズム、実験医学増刊号、印刷中
2. Ohteki, T. et al. Essential roles of DC-derived IL-15 as a mediator of inflammatory
responses in vivo. J. Exp. Med. in press.
3. Kuwajima, S. et al. IL-15-dependent cross-talk between cDC and pDC is essential
for CpG-induced immune activation. Nat. Immunol. 7:740-746 (2006).
4. Ohteki, T. et al. Critical role of IL-15-IL-15R for antigen-presenting cell
functions in the innate immune response. Nat. Immunol. 2:1138-1143 (2001).

問い合わせ先 : 筑波大学基礎医学系高橋智TEL: 853-7516 Email satoruta@md.tsukuba.ac.jp
【筑波分子医学協会、筑波大学大学院医科学研究科・人間総合科学研究科主催】
【つくば免疫学セミナー共催】