免疫応答は、T細胞が樹状細胞と出会い、樹状細胞上に提示された[MHC/抗原]複合体を、T細胞受容体(TCR)によって認識することに始まる。この認識の際に、両者の接着面に「免疫シナプス」が形成される。免疫シナプス形成は、接着と分子集合・細胞骨格制御を介したダイナミックな制御であり、細胞活性化のための構造と思われてきた。しかし、我々のイメージング解析から、免疫シナプス形成以前に、より小さな構造「ミクロクラスター」が形成され、これが抗原認識とT細胞活性化を誘導するユニットであることが判明した。TCRミクロクラスターはレセプター・キナーゼ・アダプターが集積したシグナル複合体であり、時間とともに、シグナル分子はTCRと乖離して、TCRのみが免疫シナプスの中心に集積される。新たに形成されるミクロクラスターによって長期に活性化が維持される。また、抗原刺激の質と強度に応じて複合体形成は制御される。T細胞活性化に必須で、活性化の強度と正負の調節を司る補助シグナルも、空間的には異なるミクロクラスターの制御によって調節されている。T細胞活性化におけるTCRミクロクラスターのイメージング解析から、抗原認識と活性化の制御系を議論する。