教授あいさつ
伝統を大切に、挑戦し続ける教室を目指す

筑波大学 医学医療系 循環器内科
教授 石津 智子
この度、令和6年11月1日より筑波大学医学医療系循環器内科教授に就任いたしました石津智子でございます。筑波大学循環器内科教室は、初代教授 伊藤巌先生、二代目教授 杉下靖郎先生、三代目教授 山口巖先生、四代目教授 青沼和隆先生、五代目教授 家田真樹先生につづく、第六代目となります。当教室は、開かれた教室として、全国から若手医師を受け入れています。若手が安心して研鑽をつみ成長し、そして新しい挑戦をする環境を提供したいと考えております。循環器内科は急性期対応によって命を救うことのできるやりがいのある仕事ですが、急性期ばかりではなく、予防が有効で、回復期も重要です。このようにさまざまなステージでの対応が必要な医学領域です。このため、「いろいろな循環器内科医がいていい」と思います。循環器医学に魅力を感じているが、自分に務まるか不安があるという若手医師の先生方、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、一人でも多くの仲間とともに、分担し合って最良の循環器医療を患者さんに届けたいと取り組んでいます。
また、患者さんには、お一人お一人の状態を詳しく検査で把握した上で、その方にあった最新、最良の医療をお届けできるよう取り組んでまいります。何か不安なこと、よくわからないことなどがありましたら、どうぞご遠慮なく相談してください。医師、看護師、メディカルソーシャルワーカー、薬剤師、作業療法士、臨床検査技師など多職種の専門家がハートチームが一丸となってとして診療にあたっています。どうぞ安心して診療を受けていただきたいと思います。
臨床

当教室では、心不全、不整脈、冠動脈・構造的心疾患の3つを柱とする診療チームが、互いに連携しながら診断と治療を行っています。チーム間の迅速なコミュニケーションを活かし、一人の患者さんに対して各チームが総力を挙げて最良の治療戦略を提供しています。また、茨城県内外の基幹病院との密接な連携体制を構築し、退院後も地元で安心して治療を継続できる仕組みを整えています。
心不全チーム
心筋症、弁膜症、先天性心疾患、肺高血圧症、遺伝性大動脈疾患や希少難病まで、幅広い疾患に対応しています。また、補助人工心臓植え込み認定機関として、若年者の急性心不全にも専門的治療を積極的に行っています。
不整脈チーム
国内大学病院トップクラスの実績を誇り、重症かつ難治性の不整脈患者さんを全国から受け入れ、治療を提供しています。不整脈診療の「最後の砦」として信頼されています。
冠動脈・構造的心疾患チーム
心筋梗塞や狭心症はもちろん、弁膜症や心房中隔欠損症などに対する多様なカテーテル治療を行っています。
研究

研究は筑波大学循環器内科の大事な使命です。まだ解決できない多くの循環器病の課題解決に医学研究は不可欠です。医学研究には臨床研究と基礎研究という大きく2つの分野がありますが、その二つを車の両輪として進むことが大切です。私自身は、心血行動態を通じた病態解明を専門として主に心エコーを用いた臨床研究、動物実験などを行なってまいりました。教科書で学ぶだけではなく、自ら実際に研究し、論文発表して医学を前進させる科学者としての活躍を若手医師に期待しています。私は、若手が自由に挑戦し、安心して活躍できる環境を筑波大学循環器内科に整えてまいります。筑波大学は世界の最先端の研究室が数多く在籍している総合大学です。循環器内科の若手大学院生は、これまでも学内の他の研究室と活発に交流し輝かしい論文を発表している実績があります。つくば市にある多くの科学技術施設とのコラボレーションの機会も豊富にあります。このように異なる視点、異なる分野が互いに融合することで新しい知見を創造することができる、そのような環境が筑波大には整っています。特に若手研究者の挑戦を期待していますので、是非興味のある方はご連絡をください。
教育

医師として最も大切なことは、最大限の優しさをもって診療に臨むことだと考えています。この「優しさ」とは、患者さんに最良の医療を提供することに他なりません。そのためには、自己研鑽を怠らず、必要に応じて周囲に助言を求める柔軟性が必要です。心臓病を抱える患者さんとそのご家族に寄り添い、励ます姿勢を常に大切にしてほしいと思います。
私は、まず内科医としての基礎力をしっかりと身につけた上で、心不全、虚血、不整脈といったサブスペシャリティ分野で専門性を高められる研修を提供したいと考えています。また、臨床の研鑽と並行して研究活動への参加を積極的に奨励しています。当教室では、「評論家になるな」「リングに上がれ」という指導方針のもと、研究を通じて循環器学に貢献する伝統があります。この研究経験が臨床技量の向上にも直結すると確信しています。
個人的背景と教室での歩み
私は兵庫県生まれ、茨城県育ちで、土浦第一高等学校を経て筑波大学医学専門学群に進学しました。平成5年に卒業後、初代教授の伊藤巌先生に指導を受け、杉下靖郎教授のもと循環器内科医を志しました。その後、山口巖教授、青沼和隆教授、家田真樹教授のもとで研鑽を積んでまいりました。女性として初めて筑波大学循環器内科教授に就任することは、私自身にとって特別な意義があります。これからも変化する時代の中で、皆様に信頼される教室を目指して努力してまいります。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。