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お知らせ

2022.12.13

 2022.12.12 家田先生、貞廣先生が生体内リプログラミングによる慢性心不全の心臓再生に関する研究論文を『Circulation』に発表

心筋細胞は再生能力が乏しく、心機能が低下した心不全の根治療法は、心臓移植しかありませんが、ドナー不足などの問題により、十分な治療の提供は困難です。本研究グループは、これらの課題を解決し得る方法として、心臓線維芽細胞から直接心筋細胞を誘導する「心筋ダイレクトリプログラミング法」を開発し、急性心筋梗塞マウスの心臓再生に成功しています。しかしながらこれまで、有効な治療法のない慢性心不全にもこの方法が適用できるかは不明でした。そこで本研究では、まず、心筋リプログラミング遺伝子の発現を薬剤投与によって自由に制御できる、新しい遺伝子改変マウスを開発しました。このマウスを用いて、心筋ダイレクトリプログラミングにより、心筋梗塞慢性期の線維芽細胞から心筋細胞が再生し、心機能が改善することを世界で初めて明らかにしました。さらに、線維化(組織が硬くなる)に関与する遺伝子を高発現する悪玉心臓線維芽細胞が、同遺伝子の発現が低い善玉線維芽細胞に変化して、梗塞巣が退縮することも見出しました。本研究により、心筋ダイレクトリプログラミングは、心臓線維芽細胞からの心筋再生と、線維芽細胞の善玉化を介した抗線維化作用の両面で、心筋梗塞慢性期の慢性心不全を改善させることが明らかになりました。今回の研究成果は、2022年12月12日に『Circulation』に発表されました。

プレスリリース
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20221212190000.html
Circulation誌 10.1161/CIRCULATIONAHA.121.058655

図:慢性心不全の遺伝子改変マウス心臓の観察

線維芽細胞とその細胞系譜は赤色で標識される。左図は線維芽細胞であったことを示す赤色蛍光蛋白、中図は心筋構造蛋白であるαアクチニン、右図はこれらを統合した図となる。右図では赤色蛍光蛋白を発現した細胞で心筋構造蛋白トロポニンT(緑色)が発現しており、線維芽細胞から心筋ダイレクトリプログラミングによって誘導された再生心筋細胞であることがわかる。スケールバーは100µm。

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