お知らせ
山田優先生が心筋ダイレクトリプログラミング法を用いた、収縮力が保たれた心不全の治療法に関する論文を『Circulation』に発表
詳 細
近年、収縮力が保たれた心不全(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction;HFpEF)は、収縮力が低下した心不全と同等の患者数と予後を持つ一方で、有効な治療法が存在しないことが大きな課題となっています。本研究グループは、心臓線維芽細胞に特定の心筋リプログラミング遺伝子を強制発現させることで心筋細胞を直接誘導する「心筋ダイレクトリプログラミング法」をこれまでに開発し、その有効性を収縮力が低下した心不全において示してきました。しかし、HFpEFに対する効果はこれまで不明でした。
今回の研究では、薬剤投与によって心筋リプログラミング遺伝子の発現を自由に制御できる遺伝子改変マウスを開発しました。このマウスを用いて心筋ダイレクトリプログラミングを行った結果、HFpEFモデルにおいて心臓線維芽細胞から心筋細胞が再生し、心臓線維化の抑制と心機能の改善が見られることを世界で初めて明らかにしました。さらに、心筋リプログラミング遺伝子の一つであるGata4遺伝子が心臓線維化の治療に重要であることを発見し、Gata4遺伝子単独の導入による心臓線維化改善を介したHFpEFの新規治療法を開発しました。
本研究成果は2024年12月14日付で『Circulation』に掲載されました。
論文名
Cardiac Reprogramming and Gata4 Overexpression Reduce Fibrosis and Improve Diastolic Dysfunction in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction
著者名
Yu Yamada, Taketaro Sadahiro, Koji Nakano, Seiichiro Honda, Yuto Abe, Tatsuya Akiyama, Ryo Fujita, Masashi Nakamura, Takashi Maeda, Yuta Kuze, Masaya Onishi, Masahide Seki, Yutaka Suzuki, Chikara Takeuchi, Yuka W Iwasaki, Kensaku Murano, Mamiko Sakata-Yanagimoto, Shigeru Chiba, Hideyuki Kato, Hiroaki Sakamoto, Yuji Hiramatsu, Masaki Ieda
掲載雑誌
Circulation
DOI:10.1161/CIRCULATIONAHA.123.067504.
プレスリリース
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20241214190000.html
