褐色細胞腫診断における血中遊離メタネフリン・ノルメタネフリン測定法の臨床的評価検討への御協力お願い
1.研究の背景
1-1)遊離メタネフリンとは何か
遊離メタネフリン・ノルメタネフリン(以下遊離M + NMと略す)とはカテコールアミン代謝酵素であるCOMTによる代謝産物で、抱合を受ける前の状態を指します。近年、褐色細胞腫の腫瘍がCOMTを高濃度で発現しているため、褐色細胞腫において多量に遊離M + NMが産生されることが明らかになりました。最近、欧米においては、この遊離M +
NMを血中で同定することが褐色細胞腫診断において最も感度・特異度の高い検査とされ、注目され普及しております。
ところで、上記の如く血中遊離M + NM測定は非常に優れた方法にもかかわらず、日本では同測定法の存在がほとんど知られておらず、当然測定も行われていません(今回、測定する遊離M + NM分画と、日本で一般に測定されている尿中メタネフリン2分画法の関係は下図をご参照ください)。
1-2)血中遊離メタネフリン・ノルメタネフリン測定法の利点を下図にまとめました。
1-3)本検討の目的と試験デザイン
このように血中遊離M + NM測定法の有用性が示されていますが、日本では測定されておらずそのエビデンスが示されていません。そこで遊離型血中遊離M + NM測定キットを用いて、本邦における褐色細胞腫診断における有用性を検討することにいたしました。すなわち、血中遊離メタネフリン測定法と従来法(血中カテコ?ルアミン(CA)3分画、尿中カテコ?ルアミン(CA)3分画、尿中メタネフリン2分画、バニリルマンデル酸)との検査能を比較する多施設共同比較試験です。なお本研究は筑波大学医の倫理委員会の承認を得ております(通知番号530号:実施責任者:竹越一博)。
2.調査対象・症例数と試験期間
2-1)調査対象
褐色細胞腫の疑いで確定診断のために入院予定の患者。あるいは、生化学的検査および画像検査で褐色細胞腫が強く疑われ、確定診断および治療として手術を予定している患者。
2-2)目標症例数
目標症例数は褐色細胞腫有病者33例, 無病者各33例の計66例とする。
なお、本研究計画における褐色細胞腫患者及び非褐色細胞腫患者は以下のように定義いたします。
1)
褐色細胞腫患者:術後の組織病理所見により診断が確定したもの。
2)
非褐色細胞腫患者:褐色細胞腫を疑う高血圧等の症状を示すもので、画像診断もしくは術後の組織病理所見により、褐色細胞腫が除外されたもの。
本研究では褐色細胞腫は手術後の組織病理所見により診断確定し得たもののみを指すものとする-。
2-3) 試験期間
平成21年1月から平成23年12月末日までの3年間。
3.試験への参加方法
本試験にご参加いただける場合、以下の手順をとっていただくことになります。
お忙しいところではございますが、試験の趣旨に御賛同いただき、是非ともご協力を頂けたらと存じます。
不明な点は下記まで御連絡願います。
問い合わせ先
〒305−8575
つくば市天王台1−1−1
筑波大学臨床医学系臨床検査診断学
竹越一博(研究統括責任者:准教授)
TEL/FAX
029-853-3389, E-mail
k-takemd@md.tsukuba.ac.jp
検体送付先
同上
磯部和正(情報管理責任者:講師)
TEL/FAX
029-853-3054, E-mail k-isobe@md.tsukuba.ac.jp