筑波大学 医学専門学群 看護・医療科学類








看護医療科学類長
浦山 修

 

筑波大学看護・医療科学類は、2002年10月、基本的な臨床能力を身に付けたコメデカルの学士を育成する4年制大学として開校しました。学生数は1学年当たり看護学主専攻が80名、医療科学主専攻が40名です。教員は全て大学院組織である人間総合科学研究科に属しています。学類教育を直接担当する専任教員の数は看護学主専攻が34名、医療科学主専攻が17名ですが、70名以上の医学系教員の協力も得て、教育が行われています。2003年度には1期生、続いて2期生、3期生、そして今年度(完成年度)には4期生が入学して、学類の全学生数は470名となりました。

この間、皆さんもご存知のように、医療を取り巻く状況は大きく変化しました。例えば、感染症や生活習慣病の脅威、少子高齢化の進行、また子供たちの成育環境の悪化などが大きな社会問題となっています。一方、ヒトゲノムの完全解読宣言を受けて、膨大なゲノム情報を利用して、種々の病気に対する新たな治療法の開発への期待も高まっています。より高度の医療・保健・福祉サービスおよびその専門家を、社会は求めるようになりました。そこで、私たちは、今後の医療と関連する教育のあり方を検討して、2007年4月から、現学類(2主専攻)を2つに分けて看護学類と医療科学類として独立させることにしました。コメデカルの括りではなく、それぞれの学問と教育体系に応じた枠組みによる医療人の育成は、全国の国立大学法人の“保健学科”20校の中で、初めての試みとなります。それぞれの募集人員数に変更はありません。医学類を加えた3学類体制は、各々の専門性と独自性を尊重しつつお互いに機能的に融合し、真の医療・保健・福祉のユニフィケーション(統合)の実現をめざしています。

看護学類では幅広い教養と深い人間理解の上に、看護学とその技術を学びます。卒業要件を満たすと、看護師と保健師の国家試験受験資格が得られます。また選択により助産師の国家試験受験資格あるいは養護教諭一種免許の申請が可能となります。卒業後には、医療機関における仕事だけではなく、保健(学校保健も含む)や福祉分野において人々の健康生活の維持・増進の良きパートナーとしての仕事もあります。また、現在、人間総合科学研究科の中に看護科学専攻の設置のための準備が進められているので、大学院に進学し、将来、教育や研究に携わる道、あるいは行政機関等において指導者として力を発揮する道もあるでしょう。

一方、医療科学類では臨床検査学の各科目をコアとして、広く医科学を学びます。卒業時には、臨床検査技師の国家試験受験資格が得られます。進学先としては、人間総合科学研究科の中のフロンテア医科学専攻(修士課程)があり、カリキュラム上の6年一貫教育について検討中です。さらに、博士課程(医学5専攻、詳しくはホームページをご覧ください)への進学も可能です。就職先は、このような大学院における研究や臨床検査技師の資格を活かしたものになるでしょう。これからは、人々の健康・疾病予防への関心の高まり、高齢化、環境重視などの社会的な要請もあり、医療機関だけではなく多種多様な就職先や就職形態が考えられます。

看護・医療科学類は、2007年度には看護学類と医療科学類として新たに出発し、高度専門医療職の育成を通して、人々の健康と安全な社会の実現に貢献したいと考えています。医療・保健・福祉の道への、皆さんの積極的な挑戦を期待します。




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