教授（診療科長）　難病医療センター副部長
土屋　輝一郎
（つちや　きいちろう）

筑波大学消化器内科は1977年（昭和52年）崎田隆夫初代教授から始まり、二代目 大菅俊明教授、三代目 福富久之教授、四代目 田中直見教授、五代目 兵頭一之介教授が務められた伝統ある教室です。2021年（令和3年）4月1日からは私が第六代目教授として務めています。

消化器内科は食道、胃、小腸、大腸、そして肝臓、胆嚢、膵臓までの非常に幅広い臓器を担当しており、内科の中でも患者さんの数が非常に多い領域です。それぞれの臓器において良悪性腫瘍、炎症性疾患、機能性疾患、感染症など様々な疾患が存在するだけでなく、臓器間でも連関するなど専門的かつ総合的な臨床能力が求められます。緊急を要する場面もあり、真摯に医療と向き合う心意も重要です。ただし、この様な重責は医師個人の力だけでは負担が大きいため、当教室ではチームとして一丸となることで、より良い医療を提供します。医師個人の個性を活かしつつ、論理性・協調性・技術力を備えた強力なチームを作り上げることで、医師・患者さん共に無理のない医療環境の確立を目指しています。

診療については大学病院の使命として総合的な臨床力で診断を行い、専門性の高い医療を提供します。診療部門は消化管・肝胆膵・化学療法の３部門で構成され、各部門で指導医を中心に最新の治療を行っています。国内・海外トップ病院で勤務された医師がその経験を活かして最先端内視鏡技術や炎症性腸疾患の最新治療を導入するなど、時代に先駆けた診療へと発展させています。また若手医師には大学病院での研修だけでなく、県外・国外の専門施設での研修を積極的に推し進めており、将来的には県内の医療を推進する立場として活躍してくれることを期待しています。新型コロナウイルスを始め、私達をとりまく病気は刻々と変化し、そのための医療も日々進化しています。変わり続ける疾患や医療に対応するため柔軟な診療・研修体制を構築することにより、日本や世界をリードする診療科に成長させていきます。

研究については当教室オリジナルの課題を発掘して独自の視点から新しい概念を創出していきます。日常診療で直面した様々な問題をクリニカルクエスションとして課題を明確にし、当教室にしか出来ない課題に挑戦していきます。単なる基礎研究にとどまらず、患者の抱える問題に則した解決法を探索することで、これまで不明だった疾患の原因を明らかにし、新しい治療法への開発につながる成果を目指します。基礎研究データと臨床情報の両方を理解できるのは医学者のみです。医師＋研究者の両方の視点から独自の研究を推進することで新しい発見につなげていきます。研究で得られた成果を次世代の医療に発展させることで患者さんへ還元するといった好循環となるように、臨床と研究を一体化させた体制を目指します。

教育については、立場に関係なく一人ひとりの個性を生かしていきます。学生には、一人の医師として接することを心掛けています。学生に臨床現場を体験ではなくチームの一員として参加することで、医師と同じ経験を積めるようにしていきます。学生・研修医を含めたチームで患者や疾患に関する問題点を提起し、クリニカルクエッションを設定していきます。さらにどのように問題解決を行なっていくかまで指導し、臨床現場と基礎・臨床研究が密接に関わっていることを理解してもらいます。
この度ホームページを一新しており、診療・研究・教育についてそれぞれのベージで紹介しておりますので、ご覧いただけましたら幸いです。

最後となりますが、長年ご指導いただいた私の師匠である渡辺 守教授のモットーを紹介します。

「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 」

大きな目標を達成するためにも筑波・茨城の先生方と歩んでまいります。
今後、若手医師を含め様々な方が仲間に加わることを心よりお待ちしております。

2022年1月
土屋　輝一郎