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概要

概要

このプログラムは、21世紀東アジア青少年大交流計画(Japan-East Asia Network of Exchange for Students and Youths)に基づくアセアン諸国等を対象とした学生交流支援事業である。

筑波大学人間総合科学研究科では、『メコン河流域国の環境医学スペシャリスト育成プログラム』が採択され、2010年9月〜2011年8月の1年間、11名の留学生が修士課程で学んだ。


本プログラムは、医学的側面に焦点を当てた環境リーダー(環境医学スペシャリスト)を育成プログラムであり、フィールドとラボラトリーの両面を重視したバランスのとれた教育プログラムによって、実験科学を政策科学に橋渡しできる人材、環境リーダー(環境医学スペシャリスト)を育成することを目的に実施された。

環境問題と健康問題は、隣り合わせの関係にある。例えば、メコン河はインドシナ半島を流れるアジア最大の国際河川で、その流域周辺はこれまでにも増して都市化や工業化が進んでいる。その結果、すでに河川の水質悪化や生物多様性の減少が起きており、工業地帯では悪臭や呼吸器疾患などの健康被害が報告されている。人びとの生活をこれ以上悪化させないためにも、環境問題の解決は急務であり、工学、農学、経済学、政策科学など多方面で優秀な環境リーダーの育成が求められている。このように、環境問題と健康問題は非常に密接な関係にあることから、私たちは環境問題解決の最大のアウトカムは健康の保持・回復であり、医学的見地から環境問題に取り組む人材が不可欠だと考える。

プログラム

プログラム

 本プログラムは1年間のフルタイムで実施され、参加学生は通年で、コース・ワーク、スキル・デベロップメント及びラボラトリー・ワークに参加し、また2011年7月には熊本県水俣市へのフィールドトリップを実施しました。(フィールドトリップは3月に予定されていましたが、地震の影響で7月に延期されました)。


 本プログラムはフィールドトリップを育成プログラムのひとつの柱と考えており、日本がこれまでに経験した公害問題の現場を踏査することで、実験科学を社会に還元することのできる重要性を体感してもらう。さらに環境医学領域を通して自らがどのような形で社会貢献できるのか、その考える場を日本における社会史を通して提供する。

育成プログラムの内容

 以下の4つが育成プログラムの柱となる。

 コースワークにおいてフロンティア医科学専攻の既存の授業を選択・自由聴講し、アイデア構築に役立てる。ラボラトリーワークでは実験科学の基礎を徹底的に身につける。フィールドトリップでは、過去におきた事例を検証し、各々が自由な発想の下に論理的思考法を用いて環境医学について政策につながる問題提起を行う。

1) コースワーク

フロンティア医科学専攻では、36科目が英語で授業が行われている。プログラム参加学生は、これらの科目から希望の講義を聴講することが可能である。本プログラムとして特に重要な科目(環境保健学特論、予防環境医学)は聴講を必須とし、その他の重要科目(環境ストレス概論、環境生体応答論、医学英語論文の書き方、医学英語の発表法、橋渡し研究概論、臨床試験論、疫学特論)については積極的に聴講するよう指導を行う。

2) ラボラトリーワーク

参加学生は、各々が自国で行ってきた研究背景を考慮しつつ、希望分野の研究室に配属され、指導教官の下で1年間研究活動を行う。最先端の研究現場を体験することで、実験医学を遂行する技術だけに止まらず研究テーマの設定方法、論理的思考法について修学する。また研究室のゼミ等にも参加し、日本人学生や教職員とのディスカッションを行うことで、異文化の中での研究活動の経験を通して世界で活躍できる研究者としての素養を身につける。

それぞれの参加学生には同じ研究室所属のチューターがつき、日常生活から研究室での活動までサポートを受ける。

3) フィールドトリップ

2010年3月には、水俣市立水俣病資料館へのフィールドトリップを実施する予定。当該学外学習は3日間を予定しており、現地でのスケジュール等は担当教員の監修のもとチューターの学生及びJENESYSプログラム参加学生が中心となり計画、実施する。こうした取り組みは多文化理解を深めるとともに、リーダーシップの強化やコミュニケーションスキルの訓練の好機となることが期待される。渡航前には、Minamata Studies Booklet No.5 Walk in Minamata,Learn from MINAMATA 熊本学園大学水俣学研究センター(熊本日日新聞社)発行などの資料を用いて事前学習を行う。水俣病資料館では、「語り部講和」に参加し、患者の方から直接話を伺う機会を設ける。

学外研修終了後には、グループごとに発表を行い、上記経験を通し参加学生が環境医学研究について生活者の視点に立った実学であることを改めて認識させると共に、また同時に研究者として社会に貢献する精神を涵養するように図る。

4) スキルデベロップメント

本プログラムにおけるスキルデベロップメントは、ラボラトリーワークの発展型として位置づけられている。プログラム参加学生はフィールドトリップで得た公害問題の現場体験を踏まえて、環境医学分野の研究を自ら設計・実施することで実践力を身につける。各学生は指導教官の下で1年間研究活動を行うが、フィールド・トリップの経験を経て、自信の研究内容を社会に反映させる方法についても修学する。さらに、帰国後もJENESYSプログラムで得たテーマを継続して研究するための研究設計を行い、将来実施することを目指す。各々の参加学生へは各研究室の指導教官の他に、主査・副査の教員(各1名ずつ)が指導を行う。具体的には、2011年5月に各学生はそれぞれの主査・副査に進捗状況について報告を行い指導を受ける。

成果発表会

 プログラム終了時には成果発表会を開催し、1年間の研究成果を発表する。上記コースワークでは医学英語の発表法の講義を提供しており、ネイティブスピーカー教員による英語教育授業を活用して、自信の研究成果発表方法をレベルアップさせる。

修了要件

 環境保健学特論・予防環境医学等の講義を聴講し、プレゼンテーション及びレポートにより、本プログラムに対する学生の評価が行われる。評価項目にはスキルデベロップメントに対する評価も含まれ、社会への還元性、接続可能性等が査定される。

 最終評価はJENESYSプログラムの評価教員、プログラム担当教員、(各学生の指導教員を含む)及び、フロンティア医科学専攻長によって統合的に行われる。

 上記要件を満たし、ある一定以上の水準をクリアした学生に本プログラム修了証が授与される。


フィールドトリップ

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