「老年期痴呆の回想療法を中核とした芸術療法の試み:停年退職前後から始まる痴呆(廃用性痴呆)」


 牧 豊(筑波記念病院・脳神経センター)


 一般に痴呆(ぼけ)とは脳の発育が体の発育と共にいったん完成された後に、何らかの原因で脳が広範に、慢性に影響を受け、そのために、社会生活や家庭生活の全般に支障を来す状態をいう。(Jean E. Espuirol  1826)  廃用性痴呆は老化に伴い、前頭前野機能低下から始まる痴呆で、発症以前のライフスタイルや Quality of life (QOL) に強い相関がある。  当筑波地区で経験される痴呆の大半はこの廃用性痴呆である。われわれのピンクハウス(通所型痴呆老人デイ・ケア)での回想療法を中核とした芸術療法の経験から、痴呆の大脳機能障害の考察を試みたい。



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