酸化ストレスに対抗するタンパク質が微小重力下での筋線維タイプの変化を抑制する
そこで本研究では、Nrf2が宇宙環境における酸化ストレスの防御にも有効ではないかと考え、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」実験棟の微小重力環境において、野生型およびNrf2遺伝子ノックアウトマウスを31日間飼育し、骨格筋に与える影響を調べました。重力変化に対して感受性の高いヒラメ筋に着目し、遺伝子発現解析および組織学的解析した結果、微小重力環境によるヒラメ筋の萎縮には違いは見られませんでしたが、筋線維タイプの変化については、Nrf2遺伝子ノックアウトマウスで大きくなっていました。このことから、Nrf2が、微小重力環境下で生じる筋線維タイプの変化を抑制することが分かりました。
筋線維タイプの変化は、宇宙滞在や老化に伴って生じるものであり、本研究成果をもとに、その分子メカニズムを解明できれば、こういった症状の予防や治療方法の確立につながると期待されます。
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Communications Biology volume 4, Article number: 787 (2021)
DOI 10.1038/s42003-021-02334-4
Nuclear factor E2-related factor 2 (NRF2) deficiency accelerates fast fibre type transition in soleus muscle during space flight.
(NRF2 の欠損は、宇宙飛行中のヒラメ筋の速筋線維
タイプの移行を加速する。)