私たちが健康な生活をおくることができるのは、体の調節機構がきちんと働いているからです。なにがしかの機構に破綻を生じても、その破綻によるストレスを体が感知して修復する防御機構が働きます。しかし、長期的にストレスがかかり続けると、防御機構が支えきれなくなり、何らかの病態が現れます。生活習慣病の多くは、こうしたものです。例えば、メタボといっても、病態が現れるのか、現れるとしたらいつか、どんな症状か、その程度はどのくらいか、など、実は明快ではありません。そもそも、なぜ病態が現れるかすらもよくわかっていません。鍵は、中途で生じる細胞ストレスが握ると考えられますが、なかなか優れたモデル動物系がないのが現状です。
このような状況で、私たちは、細胞ストレスを自然発症するゼブラフィッシュを系統化することに成功しました。特に、いくつかはヒトの遺伝性疾患の原因遺伝子と共通の遺伝子が壊れているものであることがわかり、疾患モデル動物としての活用が期待されています。これらを解析することにより、これまでわからなかった細胞ストレスと動物個体で起こる病態の発症機構を結びつけられるのではないかと期待します。
|