研究成果

業績資料(加藤)

Kato A, Hirohata Y, Arii J, and Kawaguchi Y.
Phosphorylation of Herpes Simplex Virus 1 dUTPase Up-regulated Viral dUTPase Activity to Compensate for Low Cellular dUTPase Activity for Efficient Viral Replication.
J. Virol. 88: 7776-7785.

概要

大部分のDNAウイルスは宿主細胞がコードする核酸代謝酵素ホモログをコードしている。これらのウイルス特異的核酸代謝酵素は、宿主細胞の該当酵素活性が低い組織において、該当酵素活性を補填するために機能すると長らく考えられてきた。しかしながら、本仮説を裏付ける直接的な知見は、非常に限られていた。本研究は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)がコードするウイルスdUTPase (vdUTPase) のリン酸化部位であるSer-187のAla置換(vdUTPase S187A)は、vdUTPaseの酵素活性を低下させ、宿主dUTPaseの活性が低い神経芽腫瘍細胞や宿主dUTPaseの発現抑制細胞におけるウイルス増殖を有意に低下させたことを明らかとした。さらに、宿主dUTPase発現カセットを搭載することで、vdUTPase S187A変異に起因する神経芽腫瘍細胞や宿主dUTPaseの発現抑制細胞におけるウイルス増殖の低下が、有意に回復することも明らかとした。本知見は、ウイルスがコードするvdUTPaseが宿主dUTPaseの機能を補填しうることを、分子生物学的な手法により直接的に示した初めての報告である。