環境保健学とは、下記手順によって構成される包括的環境リスクマネジメントの学問領域であり、近年の予防医学において非常に重要な学問となってきています。
当研究グループのこれまでの研究は、これに従い３つの領域に分担・連携して包括的に実施されてきています
（具体的業績は、よろしければぜひ研究業績をご参照下さい。）
1. 職域における環境因子（労働負荷・環境負荷）が労働者に及ぼすストレス反応を疫学的手法によって解析を実施。
a .筑波研究学園都市における知的労働者の労働環境調査
b. 宇宙飛行士の特殊閉鎖環境におけるストレス反応を定量する手法の開発
c. 過重労働と身体的許容限界に関する研究（研修医全国調査
2. 職域における有害影響因子（温熱・振動・心理ストレス）が労働者に与える影響について、実験的手法で解析。
a. 中枢神経系におけるペプチド系ストレス応答機構の解明（CRH, Orexin）
b. 振動ストレス・温熱ストレスに対するオピオイドペプチドの応答機構
3. 地域行政・民間と連携した、労働衛生管理システムの構築と運用研究
a. 茨城労働局と連携した、過重労働による「労働災害認定業務（56件）」
b. 筑波大学本部・安全衛生委員会と連携した、「労働衛生管理システムの構築」
c. 茨城県医師会と連携した、産業医の育成と生涯教育・「高度職業人養成」の実施
d. 中央労働災害防止協会と連携した、「CSRによる労働衛生推進モデル研究」の実施
e. JAXA,NASA,RSAと連携した、「長期宇宙滞在中の健康管理システム」の開発
以上の三領域にわたり広く研究を推進してきており、今後特に、領域３、つまり研究成果の組織・地域への還元と運用支援、高度職業人（産業医・産業保健師）の養成に関して、集中した研究活動を展開予定です。つまり、総合的な「環境保健学」的研究から、より実務的な「産業医学」的研究と運用に力点をおいて教育・研究・運用を進めたいと考えています。
当研究グループ単体で上記１.，２.，３.全てを遂行するには困難がありますので、１.に関しては、大分県立看護科学大学の影山教授と連携しております。２.に関しては、金沢大学の中村教授、本学薬理グループの桜井助教授、本学環境医学グループの熊谷教授と連携しております。３.に関しては、大学本部・病院、筑波研究学園都市連絡協議会などをフィールドにして還元しております。
平成19年1月 松崎一葉
