医学系における研究

臨床医学域

臨床医学分野では、多数の教員がいくつもの研究グループを構成し、さまざまな疾患の原因・発症機序・病態の解明と、新しいより優れた診断・治療・予防法の確立をめざして研究を行っています。

最先端の臨床医学研究

臨床医学分野においては、近年飛躍的な進歩を遂げた細胞生物学、分子生物学などの新知見や、細胞工学、細胞療法、再生医療などの新技術をいち早く取り入れた先進的な臨床研究が進められています。発症機序がよく解らなかった多くの疾患について、原因から症状発現に至るまでの一連の過程が、分子レベルで解明されつつあります。分子病態解析、遺伝子解析などの手法は、研究のみならず既に日常の検査としても広く取り入れられ、それぞれの個人の病状に応じた最適な治療(オーダーメード医療)を提供することに貢献しています。ハイテクノロジーと最新の機器を駆使した研究、診療も盛んに行われ、3D−コンピューター断層撮影(CT)、 3D −血管造影などの新画像技術、カテーテル・アブレーションによる不整脈治療、内視鏡手術などの面で臨床応用が進んでいます。

がん、エイズ、遺伝性疾患、自己免疫疾患などの難治性疾患に積極的に取り組み、臓器移植、細胞療法、遺伝子治療、再生医療などの新しい治療法の開発を強力に推進しています。再発白血病に対する遺伝子治療、肝移植、肝細胞再生研究などがその一例です。また日本では少数の限られた施設でのみ実施可能な、がんに対する陽子線治療は優れた成績をあげ、全世界から注目されています。脳腫瘍に対する中性子捕捉療法は、日本原子力研究所との共同研究として行われている筑波ならではのプロジェクトです。がん治療法の開発においては、このような先端研究のみならず、一定の治療計画に基づいた治療成績を継続的に集積し、データベースを構築していくことが極めて重要です。このような信頼性の高いデータベースを構築するために、附属病院ではいくつもの先進的な質の高い臨床試験が実施され、新しい治療法の開発に寄与しています。一方、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病やメタボリック・シンドロームあるいはがんなど悪性腫瘍の分子病態解析、動物モデル作成、予防法・治療法に関する研究にも力を入れています。

診断装置

陽子線
陽子線治療

世界へ――つくばの研究ネットワーク

医局講座制を廃止したメリットを活かして、学問分野にとらわれない多彩な共同研究が行われていることも、大きな特徴です。基礎医学分野や社会医学分野との共同研究はもちろん、体育科学分野との協力による充実したスポーツ医学研究は、本学ならではのものとして全国的にも有名です。また、研究学園都市つくばには、多数の研究施設があり、これらの研究施設で開発された医療技術は、臨床の場に広く取り入れられています。周辺研究施設との研究交流は、臨床研究のみにとどまることなく、グローバリゼーションの流れの中で、宇宙医学、環境医学、国際医学協力など、広い視野にたつ学際的研究が展開されています。

高度先進医療の場−−筑波大学附属病院

臨床医学分野における活発な研究活動は、附属病院におけるハイ・レベルの診療に反映されています。研究を支える多数の教員は、同時に附属病院における診療グループを構成し(http://www.s.hosp.tsukuba.ac.jp/outpatient/department/)、学生、レジデントの教育にあたるとともに、地域医療への貢献および高度先進医療の推進をめざして、診療に従事しています。特に、研究室で得られた研究成果を臨床の場に還元するための橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)に、附属病院全体として積極的に取り組んでいます。筑波大学および周辺研究施設で得られた研究成果を、より迅速かつ効率的に臨床応用することを目的として、「つくば臨床医学研究開発機構(T-CReDO)」が開設されています。

 

遺伝子解析

常染色体性優性遺伝性の家族性筋委縮性側索硬化症の1家系(1-1)の遺伝子解析により.TDP-43 M337V 変異が見出され(1-2)、神経病理学的にはTDP-43 陽性の細胞質内封入体が脊髄前角細胞(A, B) や舌下神経核(C)、中心前回のグリア細胞(D, E) に認められた(1-3)。

遺伝子治療

遺伝子治療

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次世代医療研究開発・教育総合センターが設置している臨床研究用細胞処理施設。T リンパ球に遺伝子を導入し、造血幹細胞移植後に再発した患者に輸注する臨床試験などを行っている。