1 概要 |
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依頼者が作製したDNA溶液(ベクター部分を除く)をマウス受精卵の前核中に注入し、仮親の卵管内へ移植を行ってマウスを誕生させます。生まれたマウスは離乳(生後約4週齡)までセンターで飼育します。離乳後、スクリーニングを依頼されない場合は、すべてのマウスを依頼者に送付します。スクリーニングを依頼される場合は、スクリーニング後、遺伝子導入が確認されたマウスのみを送付します。
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2 作製の手順 |
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- 「遺伝子改変マウス作製等申込書(別記様式第1号)」及び「遺伝子組換え実験計画承認書・実験計画書(様式1及2)」を送付してください。(記入例を参照して作成してください。本学内において必要な組換えDNA実験計画などの手続きをとります。)
なお、依頼者は必要に応じてその所属する大学などの長へ「遺伝子組換え実験計画承認書・実験計画書(様式1及び2)」を提出し、実験の承認を受けてください。承認がありませんと、センターが作製した遺伝子導入マウスの供与を受けることができない場合がありますのでご注意ください。
- 1と同時に、注入用DNA溶液も送付してください。注入用DNA溶液を受け取った時点で、順番待ちリストに記載します。
- 組換えDNA実験等の手続き終了後、本学から請求書が送付されますので、これにより作製料金を納入してください。
- 料金の納入を確認後、遺伝子導入マウスの作製を開始します。
- 作製を完了したマウスを専門業者に依頼して発送します(インジェクションを開始してから約2ヶ月後)。
- なお、マウスを発送するための費用(マウスの輸送用箱、輸送運賃など)、第三者検査機関による微生物検査費用は、マウス作製料金には含まれていませんので、別途お支払いください。
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3 注意事項 |
- 注入遺伝子の構造
遺伝子改変マウス作製等申込書の「異種のDNA分子、組換えDNA分子又は組換え体」欄に導入遺伝子の簡単なマップとサイズを記入してください。なお、遺伝子名は記号のみ表記するのではなく、その内容をわかりやすく簡潔に記入してください。
- マウスの系統
C57BL / 6 x DBA2 (BDF1)マウスまたはC57BL / 6マウス
- cDNAの導入の場合
cDNAの導入を計画されている方は、Brinster et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82 : 4438-4442, (1985)を熟読されることをお勧めします。なお、イントロン付きベクターが必要な方はご相談ください。
- 注入用DNA溶液の調整
注入用DNA溶液は調整のうえ送付してください。Brinster et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82 : 4438-4442, (1985)を熟読されることをお勧めします。注入するDNA溶液は遺伝子導入効率や遺伝子発現に大きく影響しますので、下記の点に注意して調整してください。
線状ゲノムDNAで、できるだけベクターDNA部分を除くこと。
DNA濃度:50μg/ml
DNA量:100μl (50μl / tubeを2本)
DNAの精製法:Tgマウス作製に用いられる方法に準じて作製してください。
- DNA溶液の送付
DNAを入れたチューブには、必ず、氏名、DNAを記入し、パラフィルム等でシールしてください。
DNAは4℃で発送してください。
濃度調整後のDNAの泳動写真を必ず同封してください。
- マウス受精卵への遺伝子の導入
マウス受精卵に遺伝子の導入を開始してから、約2ヶ月後(受精卵に遺伝子を導入してから約3週間後にマウスが生まれ、それから約4週間後に離乳します。)にマウスを発送します。
約200〜300個のマウスの受精卵に遺伝子を注入し、それを仮親マウスの卵管内に移植して出産させます。
- 導入遺伝子のスクリーニング
導入遺伝子のスクリーニングまで依頼する時には、スクリーニング用のPCRプライマーセット、PCRの反応条件、その条件でPCRを行った時の電気泳動写真を必ず同封して下さい。遺伝子導入が確認されたマウスのみを送付致します。
スクリーニングの依頼がない場合には、離乳したマウスをすべて依頼者に送りますので、DNAの解析等は各自で行ってください。なお、F0マウス(発送するマウス)のDNA解析は、一度はサザン法で確認することをお勧めします。
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4 供給するマウスの微生物学的品質 |
遺伝子改変マウスの作製には、SPFマウスを使用し、飼育室の微生物モニタリング成績証を供給するマウスに添付します。胚移植後のマウスは、専用飼育室で飼育します。委託者が第三者検査機関による微生物検査を必要とする場合は、作製したマウスが離乳後、その仮親を第三者検査機関にて委託者の必要な項目について検査し、供給マウスにその検査成績証を添付します。微生物感染については、最大限の注意を払っておりますが、供給するマウス自体の納入時の微生物学的状況を保証することは困難です。飼育室への搬入にあたり、必要に応じて、一定期間の隔離、検疫等の対応をお願いします。なお、凍結受精卵での供給も可能です。 |
---参考書---
Manipulating the Mouse Embryo. A Laboratory Manual. 2nd Edition
B. Hogan, R. Beddington, F. Costantini, E.Lacy
Cold Spring Harbor, New York, Cold Spring Harbor Laboratory Press,1994 |