血球・血管内皮細胞の発生・分化の分子機構の研究
中胚葉細胞からの血球・血管内皮細胞の発生・分化機構
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最初期に出現する血球細胞(1次造血細胞)は卵黄嚢血島領域(blood island)に位置する未分化中胚葉細胞群に起源があり、血管内皮細胞とともに発生します。このような血管内皮・血球細胞の時空間的に密接な関係から、2つの細胞には共通の前駆細胞(ヘマンジオブラスト)が存在するのではないかとの仮説が約1世紀前に提唱されました。私たちは血球・血管内皮細胞が全く発生しないFlk1欠損マウス(下図中央参照、下図左はコントロールのヘテロマウス)、Flk1遺伝子座に転写因子Tal1を導入した遺伝子改変マウス、FlK1遺伝子座にGFPを導入した遺伝子改変マウス(下図右参照)、様々なトランスジェニックマウスを用いて、血球・血管内皮細胞の発生・分化の分子機構の研究を進めています。本研究は文部科学省の平成15年度若手任期付研究員支援プログラムに採択されています。 |
Flk1+/lacZマウス(8.5日胚) |
Flk1欠損マウス(8.5日胚) |
Flk1+/GFPマウス(9.5日胚)
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ホールマウント染色 切 片 | ホールマウント染色 切 片 |
血管内皮細胞からの血球細胞の発生・分化機構
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すべての血液の産生を担う造血幹細胞は、血管内皮細胞から発生すると考えられています。この過程は、胎生期の一時期にのみ観察することができ、あたかも血管壁から血球の芽が出ているかのように見えることから ”budding”と呼ばれています(下図参照)。数多くある血管内皮細胞の中で、buddingの起こる細胞、つまり造血幹細胞へと分化する細胞は限られています。我々は、そのような特殊な血管内皮細胞に注目し、幹細胞を産み出す機構の解明に取り組んでいます。 |