疾患感受性の分子機構の解明

免疫担当T細胞とは?
 免疫系はいくつかの細胞により形成されていますが,その中で,T細胞は免疫系の反応を制御する役割と体内に進入してきた異物を攻撃する役割を担っています.その中で免疫反応を制御するT細胞はヘルパーT細胞と呼ばれており,Th1とTh2細胞に分類されます.(最近では制御性T細胞:Tr細胞の存在が示されています).
Th1とTh2細胞(説明図参照)
 Th1細胞はIFN-γやIL-2を産生して,細胞が直接進入異物を攻撃する細胞性免疫を促進します.一方,Th2細胞はIL-4, IL-5, IL-13を産生して,抗体による進入異物に対する攻撃を促進します.また,Th1細胞が優性であると自己免疫疾患が起こりやすく,Th2細胞が優勢であるとアレルギー疾患になりやすいといわれています.これまでの研究により,Th1細胞の分化にはT-betという転写因子が,Th2細胞の分化にはGATA-3とc-Mafという転写因子が重要であることがわかっています.

T-betやGATA-3の発現を制御することにより疾患感受性を制御できるか?
 そこで本研究では,転写因子T-betやGATA-3の発現を調節することにより,疾患感受性を制御できるかどうかを検討しています.少なくとも,GATA-3を過剰発現することにより,自己免疫疾患の発症を遅らせることが出来ることが明らかになりました.