医学医療系

診療科紹介

1. 診療科長 ご挨拶

 このたび、筑波大学附属病院 歯科・口腔外科の診療科長を拝命いたしました内田文彦と申します。令和七年九月一日付での就任にあたり、その責務の重さに身の引き締まる思いでございます。
 当科は、初代教授である根本先生にはじまり、吉田先生、武川先生、そして山縣先生へと受け継がれてきた歴史と伝統のもと、臨床・教育・研究の三本柱を大切に発展してまいりました。歴代教授の先生方が築かれてきた確かな実績と信頼は、現在の当科の礎であり、私たちはその歩みをしっかりと継承し、さらに発展させていく責務を担っていると考えております。
 歯科・口腔外科は、口腔がんをはじめとする腫瘍性疾患、顎変形症、口腔顎顔面外傷、顎関節疾患、さらには周術期口腔機能管理など、幅広い領域を担う診療科です。近年は医科歯科連携の重要性が一層高まり、がん治療や周術期管理において口腔機能の維持・改善が、全身状態や治療成績、生活の質に大きく関わることが明らかとなっています。当科では、院内各診療科と緊密に連携しながら、安全で質の高い医療の提供に努めております。
 また、大学病院としての使命である教育と研究にも力を注いでおります。臨床に根ざした教育を通じて、確かな技術と倫理観を備えた医療人の育成を目指すとともに、口腔がんをはじめとする疾患の病態解明や新規治療法の開発に取り組み、その成果を国内外に発信してまいります。
 患者さんにとって安心して受診いただける診療科であることはもとより、地域の医療機関の先生方にとっても信頼してご紹介いただける存在であることを目指しております。地域の歯科医療機関・医療機関の皆さまとの連携を大切にし、「顔の見える関係」を築きながら、それぞれの役割に応じた最適な医療提供体制の構築に努めてまいります。
 今後も、これまで培われてきた伝統と信頼を大切にしつつ、時代の要請に応じた新たな価値を創出し、患者さん一人ひとりに寄り添った医療の実現を目指してまいります。歯科・口腔外科領域における専門的医療の拠点として、地域医療および学術の発展に貢献できるよう、医局員一同、力を尽くしてまいります。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

2. 対象疾患・診療について

 当科では、口腔・顎・顔面領域に発生するさまざまな疾患に対し、大学附属病院としての高度な医療体制のもとで診療を行っています。画像検査や病理診断を含む精密な診断を行い、必要に応じて他診療科と連携しながら、安全で質の高い治療を提供します。

 口腔腫瘍(口腔がんを含む)
口腔内に発生する良性・悪性腫瘍(口腔がん)を対象としています。CT・MRIなどの画像検査および病理検査により診断を行い、局所麻酔または全身麻酔下で摘出・切除を行います。切除範囲が広い場合には、形成外科と連携し、機能や整容性に配慮した再建手術を行います。また化学療法や放射線療法も関連診療科と連携して治療を行います。
 親知らず
原則として、かかりつけ歯科医院からの紹介状をお持ちの方を対象に診療を行っております。症例によっては、入院のうえ全身麻酔下で最大4本の同時抜歯も行っています。全身麻酔での智歯抜歯の場合、手術待機期間が長い場合、当院関連病院へのご紹介を行う場合があります。
 唇顎口蓋裂
出生時より認められる唇顎口蓋裂に対し、成長発育を考慮した長期的な治療を行います。関連診療科と連携し、機能回復と整容性の両立を目指します。
 外傷
転倒や交通事故等で生じた顎口腔領域の骨折、歯の外傷、軟組織(口唇・口腔粘膜等)の損傷に対して、機能と審美性の回復を目的に治療や手術を行います。
 顎口腔領域の重症感染症
むし歯や歯周病、親知らずの炎症などが原因で、顎や首の深部に感染が広がることがあります。重症化すると呼吸障害や全身感染を引き起こす可能性があります。当科では画像検査や血液検査をもとに診断し、抗菌薬治療や切開排膿などの外科的治療を行います。必要に応じて入院管理のもと、関連診療科と連携して治療を行います。
 口腔粘膜疾患
口の中の粘膜には、口内炎、白板症、扁平苔癬などさまざまな病気が生じることがあります。なかには口腔がんとの鑑別や経過観察が重要な病変もあります。当科では視診・触診に加え、必要に応じて病理検査を行い、適切な診断と治療、長期的な管理を行います。
 顎変形症
顎骨の形態異常などによる咬合不全を認める場合、健康保険での顎矯正治療が適応になります。矯正治療は当院連携医療機関と連携を行って進めます。適応については一度ご相談していただく必要がありますのでかかりつけ歯科でご相談の上必要であれば紹介状を持参の上、初診予約での対応となります。
 顎関節症
薬物療法(消炎鎮痛薬や筋弛緩薬)、スプリントによる保存療法、開口訓練を行います。
 唾液腺疾患
唾液腺には、唾石症、唾液腺炎、嚢胞、良性・悪性腫瘍などさまざまな疾患が生じます。症状としては腫れや痛み、食事時の違和感などがみられることがあります。当科では画像検査や病理検査を行い、薬物療法や外科的治療など、病態に応じた適切な診療を行います。
 インプラント
歯の欠損部や、悪性腫瘍切除後の顎骨欠損部位に対するインプラント治療を行います。 悪性腫瘍術後の機能回復を目的としたインプラント治療は、保険適応となる場合があります。
 有病者の歯科治療
糖尿病、高血圧、抗がん剤治療中など、全身疾患をお持ちの方の歯科治療を行います。虫歯治療や補綴治療など、内容によっては開業歯科医院へご紹介させていただく場合があります。あらかじめご理解のほどお願いいたします。
 周術期口腔管理
手術前後、抗がん剤治療中、放射線治療中の方を対象に、口腔ケアや口腔粘膜炎などの副作用に対する対症療法を行います。全身治療を安全に受けていただくための重要なサポートを担っています。

診療実績

年間初診数         3,167例
年間全身麻酔手術件数    300件(2024年度)