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筑波大学

大学院生募集Recruitment

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修了生によるショートエッセイ

私の博士課程での経験と後輩のみなさんへ
楊文潔
(2021年度博士修了)
(中国・雲南大学講師)

 2009年4月、私は筑波大学人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻の修士号を取得後、中国に帰国し、大学教員としてのキャリアをスタートしました。10年後、私は再び日本へ戻り、母校で博士号を取得することを決意しました。しかし、10年近く研究から遠ざかっていた私にとっては、最も基本的な統計手法でさえ一から学ばなければならなかったこと、さらに、聞く・話す・読む・書くなど全てを慣れない外国語で対応しなければならないことなどから、この一歩を踏み出すという決断を下したものの、その過程は決して容易なものではないと覚悟していました。

 2019年4月、2度の入試を経て、ようやく社会精神保健学研究室の一員になり、10年の願いがやっと叶ったことは、自分が全身全霊で研究に励む大きな原動力となりました。

 博士院生としての3年間が終わり、予定通り博士号を取得して中国に帰国してきた今、私は新型コロナ禍に侵されそうになったこの3年間を振り返り、心の中に様々な感情が溢れ、いくつかの経験を後輩に伝えたく、皆さんに少しでも役に立てたらと思います。

 まず、自分の目標を明確にすること。私の大目標は、3年間で博士学位を取得することです。それを果たすために、博士1年次には、倫理審査の承認を得ることや、データ収集を終わらせること;2年次には投稿論文がアクセプトされることや、すべてのサブ研究を完了すること;3年次には博士論文を書き終えていることや、予備審査及び本審査を受けることなど、具体的な、現実的なかつ難しい中目標を設定しないといけないです。それを果たすために、私が設定した小目標は、ただ「うさぎではなく、小さな亀さんのように、日々増進して、毎日を大切にしたい」ことのみでした。このような大・中・小目標を持つことで、日々の学習生活に方向性が与えられました。

 次に、身の周りの貴重な資源を見極め、大切にすることです。私の博士段階は、思わぬ新型コロナ時代に入り、幼い娘を連れた外国での二人きりの生活が、想像より大きな困難となりました。それにもかかわらず研究の課題は少しも減りませんでした。一人の力はあまりにも小さく、周りの先生方、先輩、同級生、友人など、ほぼ全員が自分にとって貴重な資源になっていました。状況に応じて、様々な人から色々な生活や研究上への支援をして頂きました。みんなの無私のサポートがなければ、今日の私は順調に卒業することがあり得なかったでしょう。

 最後に、後輩の皆さんに3つのアドバイスをしたいと思います。これは、私がいつも自分で実践していることと同じです。第一に,毎回指導教官の個別指導と毎月のゼミ発表を大切にしてください、これは研究進捗を保証します。第二に,研究パートナーを探してください、お互いに励まし合って、一緒に次のステップに進んで、研究上の色んな困難を乗り越えられます。第三に,周りの目を気にせず、あらゆるサポートを自ら求めてください。いわゆるhelp seeking行為を取ることがとても重要です。

 博士の3年間を振り返ってみれば、確かに悪戦苦闘の日々でしたが、実はとても短かったとも実感しました。また、この段階は人生にとっても貴重な財産となると思います。後輩の皆さん、自分の大学院生の生活を十分に楽しむことを願っています。