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「つくばブレインサイエンス協会」ホームページ

つくばブレインサイエンス協会(TBSA)では、毎月、神経科学をテーマにセミナーを行っております。
医学、生物学、心理学、工学といった幅広い分野から専門の先生方をお招きし、最先端の内容を他の分野の方々にもわかりやすく解説していただいております。
セミナーは無料で公開されていますので、どなたでもご自由にご参加いただけます。
なお、このセミナーは筑波大学大学院修士課程フロンティア医科学専攻との共催です。

Recently Updated (2017. 4. 7)
歴代演者御氏名の一覧表をアップしました。ご覧いただければ幸いです

TBSA定例会のお知らせTBSA定例会のお知らせ

 
 第239回つくばブレインサイエンス・セミナー (2017年12月開催)
日時
2017年12月26日(火)18時よ
場所
筑波大学・医学エリア・健康医科学イノベーション棟8階講堂
バスご利用の方は『筑波大学病院入り口』または『追越学生宿舎前』で下車してください。
演題
新規NMDA受容体調節薬GLYX-13の抗うつ作用メカニズムについての研究
演者
加藤 太朗(かとう たろう)先生  
(大日本住友製薬株式会社・リサーチディビジョン・薬理研究ユニット)
要旨
 うつ病は抑うつや無気力などによる機能的な障害を特徴とする疾患であり、1980年代に創製されたSSRI/SNRIが現在に至るまで第一選択薬として使用されている。一方でSSRI/SNRIはその薬効が極めて不十分であり、強力な作用を有する薬剤に創製が求められている。近年、NMDA受容体拮抗薬であるketamineが即効性かつ持続性を有する抗うつ作用を発揮することが報告され、新たな抗うつ薬のターゲットとしてグルタミン酸神経系に注目が集まっている。GLYX-13(rapastinel)はアロステリックにNMDA受容体の機能を調節する化合物であり、ケタミンと同様の即効的かつ持続的に抗うつ作用を発揮することが臨床で明らかにされた。一方で本化合物がどのようなメカニズムを介して作用を発揮するかは未だ不明であり、本研究では主に薬理学的手法を用いて作用機序の解明を行った。
 これまでの研究から、ketamineは前頭前皮質(mPFC)においてシナプス機能を増強することで抗うつ作用を発揮し、この作用はmTORC1およびBDNFシグナル経路の活性化を介することが示されている。そこで、GLYX-13でも同様にmTORC1シグナルが作用の発揮に必要であるかを確かめるため、WB法を用いて関連タンパクの活性を評価した。その結果、GLYX-13はmTORやeffector proteinの活性を増強し、各種行動薬理試験におけるGLYX-13の薬効はmTOR阻害剤であるrapamycinをmPFC内に注入することで消失した。また、スパイン解析の結果、GLYX-13はシナプス機能を増強することも明らかになり、ketamineと共通するメカニズムを有することが示唆された。一方、5-HTおよびhypocretineへのpyramidal neuronの応答性をketamineと比較したところ、ketamineが両リガンドに対する電気生理学的応答を増強したのに対し、GLYX-13はhypocretineへの応答性のみを増強し、特徴的なスパインへの作用態度を有することが示された。
 次に、BDNFシグナルの活性化がGLYX-13の作用に必須であるかを検討した。脳内のBDNF活性を阻害するため、mPFCにBDNF中和抗体、TrkB拮抗薬であるK252aを局所投与したところ、行動薬理試験でのGLYX-13の薬効は消失した。またBDNFの開口放出を抑制するverapamil(L-type Ca2+ channel阻害剤)を全身投与することによっても薬効は打ち消された。さらに、BDNF遊離能に差異があるBDNF val/met SNPを導入したマウスを用いてGLYX-13の薬効を評価したところ、遊離能が低いmet alleleを有するマウスにおいて薬効が減弱/消失した。また、スパイン形成や形態の維持に機能するRho GTPaseの一種であるRac1の阻害剤を用いた検討から、GLYX-13がBDNFシグナル刺激の下流としてRho GTPaseを賦活化することが示された。以上から、GLYX-13がBDNF-Rac1シグナル活性化を介したシナプス機能の増強により薬効を発揮することが示唆された。
 また、mPFCにおける各種ニューロン特異的なNMDA受容体のノックダウン実験により、GLYX-13が作用する神経細胞種を明らかにする検討も進めており、併せて紹介したい。

交通アクセス交通アクセス(筑波大学・医学エリアでの開催の場合)


 つくばエクスプレス TX秋葉原駅 つくば駅 ―<関東鉄道バス> 筑波大学病院入り口または追越学生宿舎前下車 
 JR常磐線 JR上野駅 荒川沖駅 ―<関東鉄道バス> つくばセンター 筑波大学病院入り口または追越学生宿舎前下車
 高速バス 東京駅八重洲南口 つくばセンター ―<関東鉄道バス> 筑波大学病院入り口または追越学生宿舎前下車
(他に羽田空港、成田空港からの高速バスもございます)
 お車でお越しの場合 東京他各地 ―<常磐自動車道> 桜土浦IC ―<R354> 大角豆交差点を右折 ―<東大通り> ―<北大通り> 筑波看護専門学校の交差点で右折 筑波大学・医学エリア

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