A04班「脳細胞の変性に関する研究」の公募要領
(班長:東京大学・大学院医学系研究科 辻省次)
 
 A04 班では、アルツハイマー病以外の神経変性疾患、すなわちパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症,ポリグルタミン病などの神経変性疾患の病態機序を解明するとともに、治療法を開発することを目標としています。
 単一遺伝子疾患の中にもまだまだ病因遺伝子が未解明の疾患があり、特にパーキンソン病、脊髄小脳変性症については、従来通り取り組んでいく予定です。しかし、焦点は、病因遺伝子の同定から分子病態機序の解明へと移りつつあります。病態機序解明を目指すには、臨床サイドだけではない、幅広い研究者の結集が必要です。この点、当該班の設立の際とは、状況は大きく変化してきていると思います。
 A04班で取り扱う神経変性疾患の多くにはさまざまな封入体が出現しますが、それらは発症機構において重要な役割を果たしていると考えられます。封入体の形成に関わるタンパクのコンフォメーション変化は遺伝的にも、何らかの環境要因によっても生じうると考えられ、遺伝性神経変性疾患と孤発性神経変性疾患を結びつける重要な点であろうと思います。タンパク分子のプロセッシングの異常、ユビキチン・プロテアソーム系、分子シャペロンなどの関与が強く示唆されており、本研究班でも重点的に取り組みたい分野です。
 現在、疾患モデルマウス(主としてトランスジェニックマウス)の開発が進み、病態機序の解明だけではなく、臨床治験まで進みつつある有望な治療法も見いだされつつあります。この流れを他の神経変性疾患にも広げていくのがA04班の大きな使命であります。このように、治療法の開発を目指した申請は大いに歓迎したいと思います。