筑波大学医学医療系・分子遺伝疫学研究室は「ヒトゲノム多様性と疾患」をキーワードとして研究に取り組んでいます。

自己免疫疾患

膠原病におけるHLA遺伝子群の解析

HLAは、T細胞受容体に対して抗原ペプチドを提示する分子であるとともに、KIR (killer-cell immunoglobulin-like receptor)や一部のLILR (leukocyte immunoglobulin-like receptor)のリガンドとしても機能します。

HLAには、classical HLAと呼ばれるHLA-A, B, C, DR, DQ, DPに加え、E, F, G, DM, DOなど、多数の遺伝子から構成されている(polygenic)とともに、各座位において、多いものでは5000種類以上におよぶ、顕著な多型性が見られます(polymorphic)。これらの遺伝子のすべてが、染色体6p21.3の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)領域にコードされています。

HLAは、免疫疾患を始めとして、多数の疾患の感受性に関連し、しかも、一部の疾患では、かなり強い関連を示します。しかし、そのような疾患でも、大部分は、関連の分子機構は未解明です。

当研究室では、主要な研究テーマの一つ、日本人集団におけるさまざまな膠原病および膠原病類縁疾患に関するHLA遺伝子群の解析を施行しています。以下の表にその主な結果を示します。ANCA関連血管炎のHLAついては、Iをご覧下さい。

この過程で、日本人集団における各疾患の疾患感受性アリルが確認されました。さらに、HLA-DRB1*13:02が複数の膠原病において共通に疾患抵抗性に関連することが見出されました(Oka et al., PLoS One 2014;9:e99453外部リンク, Furukawa et al., PLoS One 2014;9: e87792外部リンク, Kawasaki et al., PLoS One 2016;11: e0154393外部リンク, PLoS One 2016; 11: e0154255外部リンク,Furukawa et al., Genes Immun 2017;18:1-7外部リンク)。

日本人集団におけるHLA-class Ⅱとリウマチ性疾患の関連

また、免疫制御作用を有するとされるHLA-Gについても解析を行い、全身性エリテマトーデスにおいて、HLA-DRB1座位と独立の関連を有することを報告しました(Hachiya et al., PLoS ONE 2016; 11: e0158065外部リンク)。

HLAアリルと疾患感受性あるいは抵抗性の分子機構の解明は、疾患の本質的病因の解明や治療法の開発につながる可能性をもっています。HLAアリルと疾患との関連の機序には、提示する抗原ペプチド特異性、HLA分子の発現レベルや分子安定性に対する影響、連鎖不平衡にあるHLA以外の遺伝子が一義的である、などの可能性が存在します。現在、HLA領域の次世代シークエンス解析や機能解析などで分子機構の解明を試みています。

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Key Words

ヒトゲノム、遺伝子多型、
人類遺伝、自己免疫疾患、
膠原病、
全身性エリテマトーデス(SLE)、
関節リウマチ、
ANCA関連血管炎、
全身性強皮症、病因解明、
precision medicine

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