GRADUATE

修了生より

戒能 賢太 

Physician scientistへの第一歩

学部卒業後数年間の臨床研修を経て、臨床の場で得られたClinical questionを自らの手で基礎研究を通じて解明するPhysician scientistに憧れを抱き、最も興味のあった糖尿病を専門とする本研究グループで学位を取得しました。代謝学、特に脂質代謝を中心とした多岐にわたる研究テーマに取り組む数多くのスタッフ、ポスドク、学生たちに囲まれ、毎日が刺激的で、素晴らしい環境で研究に集中することができました。在学中は、私自身が臨床で感じていたUnmet medical needsを満たしうるような肥満症の新規治療標的の研究に取り組み、また学外の研究グループとも積極的に交流し知見を広げることができました。本プログラムは、Physician scientistを目指す皆さんにとっても、その第一歩として相応しい研究環境を提供してくれるはずです。

石井柳太郎 

医は仁術なり

修了生の声を書かせていただくにあたり、日本人らしく「他の先生方はどのようなことを書かれているのだろう」と幾つか拝見させていただき、こちらの座右の銘が目に留まりました。養生訓という本が出典のようで「医者のあるべき姿」がその本では述べられていました。私は2007年に34回生として医学類に入学いたしました。ただ、34回生と言っても色々います。養生訓には「医者になろうとするものは文章の意味がよくわかっていないといけない。文章の意味がよくわからないと、医書を読む力がなく、医学が大成しない」と書かれていますが、私はまさに「医書を読む力がない」学生で、「君、いたっけ?」と言われるような存在として卒業いたしました。卒業後は4年間研修医として勤務させていただいた後、2017年に生命システム医学専攻(現医学学位プログラム)に進学いたしました。

入学当初は、今まで一度もやったことのない基礎研究に大変苦労いたしました。ただ、有名なエスニックジョークに、アメリカ人には「こうやるとヒーローになれます」、ドイツ人には「こうやるのがルールです」等々…と言えば問題は解決するというものがあります。博士課程には最初に述べた「他の方はこうやっています」という日本人だけではなく、様々な国から来た留学生が在籍しており、今までとは全く違った充実した4年間を過ごすことができました。先日、入学当初に読んだ論文を再び読む機会があり、その際に「ああ、こういう意味だったのか」と理解することができ、「医書を読む力」がついたと実感いたしました。昨今は専門医制度が充実し、また医療技術の進歩も早く、博士課程に進学する余裕のない学生さんや先生方も多いかと思います。しかし、「学問がないと、技術ができても学理がわからず、術は高まらない」と養生訓にもあります。臨床でお忙しいことと思いますが、博士課程の4年間研究に取り組んでいただき、疾患の診断・治療の背景を考えてみるのも悪くはないと思います。その際には、2021年5月より現職に就かせていただいた私も微力ながら御協力させていただきます。

小倉 由希乃 在学中

研究者を目指しての第一歩

私は筑波大学の医療科学類を卒業後、フロンティア医科学専攻(修士)を経て、医学学位プログラム(博士課程)の4年次です。私は博士課程から研究室を変更して進学しました。これは、修士課程で臨床の研究室に所属していた頃に、将来研究を仕事にしたいなと感じたのと同時に、分子生物学を中心とした基礎研究をもっと学んでみたいと考えたためです。博士への進学は私にとって大きな挑戦で(学部時代の成績も悪かったです…)、不安もありました。しかし、いつでも親身になってくださる先生方と、励ましあいながら一緒に研究を楽しむことが出来る仲間に支えられて、4年間研究に夢中になって過ごすことができました。研究以外にも、国際交流プログラムや授業のTAなど貴重な経験が本当に多く、1つ1つがこれからの研究活動に生かせると感じています。

来年からはポスドクとして研究を続ける予定なので、理想の研究者を目指してこれからも挑戦していけたらと思います。みなさんも自身の進路について悩むことがあるかもしれませんが、研究が楽しい、もっと○○を学びたい!と思う気持ちを大切に、一歩踏み出してみてもらえたら嬉しいなと思います。

玉置 隼也 在学中

自分の個性や強みを確認できました

はじめまして。私は医学学位プログラムの魅力は、「様々なバックグラウンドを持つ同級生」と「伝える力を涵養できる環境」だと考えています。 当学位プログラムには様々な国、大学、学部の出身者が在籍し、幅広い分野の研究が行われています。他博士課程プログラムでは対面での授業が少ないこともありますが、当学位プログラムでは学生同士や先生方とコミュニケーションを行うことができる授業が用意されています。特に印象に残っているのは、授業の一環で別の研究室のセミナーに参加させていただいたことです。異なる研究室・バックグラウンドならではアイデアや考え方に触れることができ、自分の個性・強みの再確認ができ、それらを大切にしようと考えるようになりました。また、学位審査の他にも学内の発表会など自分の研究を発表する機会が多くあり、多くの研究者の方から質問やアドバイスをいただいた機会があることも重要なポイントです。いただいたアドバイスなどから、自分の研究や伝え方の弱点などに気づくことができ、より的確に伝えるトレーニングを重ねるとことができたと考えています。当学位プログラムで得たこれらの経験は、国際性や多様性を重んじる現代の研究者として、さらには研究以外の人生の様々な側面において重宝するものであると日々実感しています。

山内 庸平 2017年修了

医学学位プログラムで楽しい研究生活を送ってみませんか?

私は筑波大学医療科学類を卒業後、フロンティア医科学を修了、2017年に生命システム医学専攻(現在の医学学位プログラム)を修了して博士の学位を取得しました。現在、製薬会社にて新規テーマを発案し、薬の種を探す研究を行っています。

博士課程で所属した研究室は、台湾、ベトナム、日本人学生、そして教員の先生方が昼夜問わず実験し、本音をぶつけ、楽しい飲み会をする、そんな充実した研究室でした。加えて、他の研究室の教授が同じ部屋でお酒を酌み交わしていることが多く、個性あふれる教授陣から研究者としての矜持を肌で感じ、刺激を受けていました。振り返っても楽しい学生生活でしたし、今の会社で楽しく仕事ができているのは、当時のハードワークや楽しいお酒を通じて、実験の楽しさや、研究者として生きていく魅力を感じることができたからに違いありません。
企業で研究を行うために、博士過程への進学が必要かどうかをよく尋ねられます。日本国内では必ずしもそうではありませんが、米国や欧州の企業では学位が研究者のライセンスのようにみなされます。しかしそれ以上に、進学する重要な価値は、昼夜を気にせず研究のことを第一に考えて、感性を研ぎ澄ますことにあります。そして、たくさん失敗する実験の中から小さな発見を見出して成功に繋げていくことにあると思います。こういった経験が精神的に自身を成長させて、さらにその後の研究者人生の礎になると思います。 みなさんも医学学位プログラムという素晴らしい環境で、楽しい研究生活を送ってみませんか?

藤本 ゆり 在学中・社会人入学

医学の研究を通して人々の健康に貢献したい

私はフロンティア医科学専攻で脂質代謝を制御する転写因子について研究した後、製薬会社に薬理研究員として勤務しております。

フロンティア医科学専攻および医学学位プログラムの魅力は、医療に関わる方々と研究やディスカッションを行うことで、臨床応用を常に意識できる研究員として成長できることかと思います。私自身、医療の課題を正確に捉えた上で、創薬応用といったゴールイメージを明確にもって研究を進めることの大切さを学びました。また、入学当初全く決まっていなかった自分の目指す将来についても、『医学の研究を通して人々の健康に貢献したい』という自分なりの考えを持つことができました。今もその使命感を持って日々創薬研究に明け暮れております。

現在は、仕事と並行して、医学学位プログラムにおいて社会人博士の取得にチャレンジしております。医療の最先端を知る先生方とのディスカッションは非常に刺激的で、自身の業務にもポジティブに働いていることを実感しております。是非、皆さんも一緒に、医学学位プログラムで新しい医療を切り開いていきましょう!

金丸 由美 2013年修了

医学学位プログラムでの経験が留学先で役に立っています

私は筑波大学医療科学類に入学し、フロンティア医科学専攻、生命システム医学専攻を経て筑波大学でポスドク、助教として勤務しました。現在はケンブリッジ大学でポスドクとして研究しています。目標としていた海外ラボでの研究生活を始めることができました。

生命システム医学専攻と疾患制御医学専攻とが統合した医学学位プログラムの売りは、「他の学問分野との協力・融合も行いやすい環境を整えている」点だと思います。他分野の人に研究の相談をしたり実験手法を習ったりすることは少々ハードルが高いですが、本プログラムの環境はそのハードルを下げてくれました。他分野との協力・融合は博士として幅広く豊かな学識を養う上でも重要です。「留学生を積極的に受け入れ、海外留学や国際共同研究の体制を整え、学生が国際的な経験を得る機会を豊富に提供している」点も非常に魅力的です。私が在籍していた免疫制御医学研究室には留学生が多く在籍しており、ラボ内での日常会話やミーティングの言語は英語でした。留学した今、その経験が実に役にたっています。

どんなに研究が好きでも博士課程の日々は楽しいことばかりではないと思います。国内外問わず多様な学生や研究者とインタラクトする機会を与えてくれる本プログラムの環境は、そんな日々の助けになってくれるはずです。健闘を祈ります。

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