具体的なケアプランを立てる中で、在宅ケアの現場で患者をサポートする様々な職種の役割を学びます。
今年74 歳の斉藤武さん(仮名)は、もともとアルコール依存症があり、5年前にお酒で酔って、家で転んで頸椎に損傷を受け(中心性頸髄損傷)、四肢の不全麻痺がある方です。一時はリハビリで杖歩行ができるまでになりましたが、ご本人は生活やリハビリには意欲を見せず、年々ADL(Activity of Daily Living:日常生活動作)は悪化するばかりで、現在はほとんどベッド上の生活になっています。また、本人がいやがって定期的には病院にはかからないため糖尿病のコントロールも問題です。
一番の問題が家族関係です。日常的に斉藤さんと娘の由美子さん(40 歳、仮名)の間の口論は絶えず、由美子さんもかなり参ってしまい「親子関係の修復は無理、自分も仕事をしているし、もう父親を看れない。この生活は続けられない」と限界に来ています。
●非常に多くの職種が協力しあい、調整しあいながらそれぞれの専門分野をいかしながら在宅ケアを行っていた。これだけ多くの人間が同じ1 つの目標に向かって協力して働いているとなると一番大切で一番難しいのがそれぞれの間の意志の疎通である。この問題を解決するために中心で働いているのがケアマネージャーである。多くの人間と接し、調整する役割を担うことからも信頼関係を築くということがとても大切になる。
●今回実際に自分たちでケアプランを作成してみて、介護対象者・介護者双方の要求を満たし、納得させることの難しさを痛感した。また最適なケアプランを一度で決めることも難しい。そのときの状況に応じて臨機応変に改善策を考えていく、それは在宅ケアだけでなくほかの医療の現場でも言えることであろう。