メタボリックシンドロームを制御する代謝産物センサー分子を発見
本研究では、2つの代謝産物、糖を使ったエネルギー代謝と連動するNADHと、脂質を使ったエネルギー代謝と連動する脂肪酸CoAのバランスが重要で、それを認識するセンサー分子CtBP2が代謝を調節していることを明らかにしました。すなわち、健康な状態では、CtBP2はNADHと結合して活性化しており、肝臓では糖新生や脂質合成を抑え、糖尿病や脂肪肝にならないように働きますが、肥満になると、脂肪酸CoAが肝臓内で増加してCtBP2の機能を抑制し、糖新生や脂質合成が増加し、糖尿病や脂肪肝をもたらします。このメカニズムは、CtBP2の分子構造に基づくNADHや脂肪酸CoAの結合状態の解析からも裏付けられました。さらに、肥満の肝臓でCtBP2を活性化すると糖尿病や脂肪肝が劇的に改善することが分かりました。
本研究は、これまでにない形で代謝を理解するものであり、メタボリックシンドロームの新しい治療法開発の可能性を示唆しています。
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Nature Communications 12, Article number: 6315 (2021)
DOI 10.1038/s41467-021-26638-5
The transcriptional corepressor CtBP2 serves as a metabolite sensor orchestrating
hepatic glucose and lipid homeostasis
(CtBP2は代謝産物センサーとして機能し、肝臓の糖・脂質代謝に重要な役割を果たしてい
る)