ニュース / 論文掲載


論文掲載のお知らせ

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2021年 2月 26日

マウス胎仔の血液を他種のものに置き換えることに成功


実験動物を用いた造血幹細胞移植は、さまざまな疾患に対する有効な治療法の開発や血液系の研究において重要な研究手法であると同時に、造血幹細胞の機能を確かめる強力な検証法の一つです。従来の造血幹細胞移植モデルは、レシピエント(移植される側)の免疫細胞を抑制し、移植するドナー造血幹細胞の拒絶反応を避けるため、あらかじめ放射線照射などの処置によって骨髄中の造血幹細胞を死滅させたマウスの静脈に、ドナー由来の造血幹細胞を注入させて作製しています。しかし、この処置は、レシピエントの寿命を短縮し、ドナー細胞の生着率を低下させる恐れがありました。また胎仔をレシピエントにして、造血幹細胞の高い生着率を得る方法は未だ報告されていません。

(続き –> 筑波大学 Tsukuba Journal ウェブページ)

プレスリリース PDF

Generation of reconstituted hemato-lymphoid murine embryos by placental transplantation into embryos lacking HSCs. - Scientific Reports 11, Article number: 4374 (2021) (英語)

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2021年 2月 3日

DHODH inhibition synergizes with DNA-demethylating agents in the treatment of myelodysplastic syndromes

Key Points

• DHODH inhibition synergizes with DNA-demethylating agents in the treatment of MDS.
• DHODH inhibition enhances the incorporation of decitabine into DNA in MDS cells.


Blood Advances - Issue: Blood Adv(2021) 5 (2): 438–450
    https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2020001461

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2021年 1月 20日

状況に応じて物の価値判断を変化させる脳の仕組みを解明

〜脳深部の線条体尾部で情報の統合が行われる〜


(論文掲載 2021年 1月 19日)




ヒトを含む動物の生存にとって、価値ある物を手に入れることは最も重要な行動の一つです。そして、同じ物であっても、動物にとっての価値は物が置かれた環境や状況によって変化します。動物はその価値を、経験や学習に基づいて適切に判断しているのです。では、どのようなメカニズムで私たちは物の価値を学習しているのでしょうか。 (続き –> 筑波大学 Tsukuba Journal ウェブページ)

プレスリリース PDF

Environment-based object values learned by local network in the striatum tail
PNAS - January 26, 2021 118(4)e2013623118 (英語)


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2021年 1月 6日

筋肉の幹細胞が増幅する仕組みを解明

〜筋力低下や筋ジストロフィー治療に期待〜


(論文掲載 2021年 1月 6日)




プレスリリース 筑波大学 Tsukuba Journal ウェブページ

私たちの筋肉(骨格筋)は非常に高い再生能力を持っています。激しい運動や打撲などで損傷が起きた場合でも、骨格筋組織内にある骨格筋幹細胞の働きで、速やかに再生することが可能です。骨格筋はまた、私たちの体の動きを司るだけでなく、全身のエネルギー代謝を制御する組織としても大切な働きをしています。我が国は人生100年時代に突入したとも言われますが、骨格筋を一生涯にわたり健全に保つことは、健康で長生きする秘訣であると考えられます。

しかし、加齢や病気により、筋肉の再生が上手くいかない状態が生じます。それは骨格筋組織内に存在する幹細胞の機能や数が低下するからです。このような変容を抑制し、骨格筋を正常に保つためには、骨格筋幹細胞の増幅や性質を維持するメカニズムを明らかにすることが欠かせません。 (続き –>)

プレスリリース PDF

Satellite cell expansion is mediated by P-eIF2α-dependent Tacc3 translation
Development DOI: 10.1242/dev.194480 (英語)


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25 Nov 2020

Fundamental Biological Features of Spaceflight: Advancing the Field to Enable Deep-Space Exploration.



Research on astronaut health and model organisms have revealed six features of spaceflight biology that guide current understanding of fundamental molecular changes that occur during space travel.

Cell – Volume 183, Issue 5, 25 November 2020, Pages 1162-1184

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2020年 12月 11日

Generation of KS-58 as the first K-Ras(G12D)-inhibitory peptide presenting anti-cancer activity in vivo.



In vitro data and molecular dynamics simulations suggest that KS-58 enters cells and blocks intracellular Ras–effector protein interactions. KS-58 selectively binds to K-Ras(G12D) and suppresses the in vitro proliferation of the human lung cancer cell line A427 and the human pancreatic cancer cell line PANC-1, both of which express K-Ras(G12D). Moreover, KS-58 exhibits anti-cancer activity when given as an intravenous injection to mice with subcutaneous or orthotropic PANC-1 cell xenografts. The anti-cancer activity is further improved by combination with gemcitabine.

Scientific Reports – 10, Article number: 21671 (2020) (英語)

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2020年 11月 28日

宇宙生命科学研究の国際コンソーシアム設立

〜筑波大学開発の解析技術を世界で活用〜


(論文掲載 2020年 11月 26日)




月や火星の有人探査や宇宙での長期滞在に向けた宇宙開発を進める上で、様々な生命科学分野の研究も不可欠です。これらの研究は、宇宙放射線や異なる重力環境に対する宇宙飛行士の順応や、長期滞在に伴う食糧生産などの課題解決に資するものです。また、骨密度の低下や筋の萎縮、代謝の変化など、地上で人体に起きる老化に関連した変化と類似した現象が宇宙で起きることが、宇宙飛行士や生物を対象とした研究で明らかにされており、生命科学研究にとって、宇宙研究は、地球での健康維持にも応用可能な、新しい分野として認識されつつあります。

このような研究には、各国の宇宙機関が主導する様々な実験の結果を集約・共有し、データを総合的に解析することが大切です。そこで、宇宙生命科学実験に携わる研究者が集まり、実験やデータ取得の方法を統一化するための国際的なコンソーシアム「International Standards for Space Omics Processing(宇宙オミックス解析の国際標準、ISSOP)」が結成されました。この組織には、米国、欧州をはじめ、日本も参加します。その中で筑波大学は、これまでゲノミクス解析分野での微量サンプルの解析技術や実験自動化を通してオミックス解析を先導しており、このようなデータを活用する日本国内の研究者の代表としての役割を担うとともに、これまでの宇宙生命科学の進展とISSOPの活動を紹介する総説を発表しました。ISSOPの枠組みを基盤として、国際的な研究者のネットワークによる精度の高いデータ解析が行われることで、深宇宙の有人探査を目指す研究のスピードアップが期待できます。

プレスリリース 筑波大学ウェブページ

プレスリリース PDF

A New Era for Space Life Science: International Standards for Space Omics Processing
Patterns - November 25, 2020 (英語)


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2020年 11月 11日

快楽から意思決定まで ドーパミンニューロンが担う多様で複雑な働きに迫る


(論文掲載 2020年 11月 11日)



“ドーパミンという脳内物質の名称を聞いたことのある人は多いでしょう。以前から快楽物質としてよく知られていましたが、近年、それだけではなく、学習や動機付け、行動抑制などにも関わっていることがわかってきました。中脳という脳の奥の方に存在し、ドーパミンを作り出す神経細胞であるドーパミンニューロンに障害が起きると、情動とは関係ない部分にも影響が生じます。例えば、ドーパミンニューロンが80%ほど失われると、運動や認知機能に様々な症状が現れるパーキンソン病を発症します。”

もっと読む → (筑波大学ウェブページ, 文責:広報室 サイエンスコミュニケーター)

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2020年 11月 28日

腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れる

(論文掲載 2020年 11月 11日)


腸内細菌叢を含む腸内環境は、脳機能と相互に影響を及ぼしあっていることが明らかになっています。本研究では、慢性的な抗生物質投与によって腸内細菌叢を除去したマウスを用いて、腸内細菌叢と、脳機能の一つである睡眠の関係について調べました。

腸内代謝状態を知るため、盲腸内容物のメタボローム解析を行ったところ、腸内細菌叢除去マウスでは、正常なマウスと比較して神経伝達物質合成に関係するアミノ酸の代謝経路に有意な変動が認められました。特に、ビタミンB6が有意に減少し、神経機能を調節するセロトニンが枯渇していました。一方で、神経細胞の活動を抑えるグリシンとγアミノ酪酸(GABA)には有意な増加が認められました。



脳波と筋電図を指標として睡眠を解析すると、腸内細菌叢除去マウスでは、明期(睡眠期)の睡眠が減り、暗期(活動期)の睡眠が増えており、睡眠・覚醒の昼夜のメリハリが弱まっていました。また、大脳皮質の活動が活発なレム睡眠に特徴的な脳波成分であるシータ波が減少していることが分かりました。以上のことから、腸内細菌叢の除去が睡眠の質を低下させる可能性が示唆されました。

今後、腸内細菌叢から睡眠制御の仕組みへの情報伝達経路の解明や睡眠不足状態の解析を通じて、腸内環境と睡眠との相互作用を明らかにし、食を通じた腸内環境コントロールによる睡眠改善法の開発を目指します。本研究の推進により、腸内環境と脳機能との相互作用(脳腸相関)についての理解をさらに深めることで、食習慣に基づいた健康増進の新たな方法論の確立が期待されます。

プレスリリース PDF
Gut microbiota depletion by chronic antibiotic treatment alters the sleep/wake architecture and sleep EEG power spectra in mice
Scientific Reports - 10, Article number: 19554 (2020) (英語)
doi: 10.1038/s41598-020-76562-9


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2020年 10月 28日

Limited rejuvenation of aged hematopoietic stem cells in young bone marrow niche


Key Point

• Transcriptome and methylome analyses revealed that the young niche largely restored the transcriptional profile of aged HSCs, but not their DNA methylation profiles. Therefore, the restoration of the young niche is insufficient for rejuvenating HSC functions, highlighting a key role for age-associated cell-intrinsic defects in HSC aging.


Journal of Experimental Medicine - https://doi.org/10.1084/jem.20192283