脳の神経回路の機能解明
領域略称名:
神経回路機能
領域番号:
018
研究期間:
平成16年度〜平成21年度
領域代表者:
狩野方伸
所属機関:
金沢大学医学系研究科
 脳の最大の特徴は、構成要素である神経細胞がシナプスを介して連絡することによって神経回路を形成し、さらに神経回路が集積してシステムとして機能する脳が構成されることである。したがって、構成要素を対象とした分子細胞レベルの研究に立脚して神経回路の機能を解明することは、脳機能の理解の進展のために欠かすことができない。「神経回路」は、個体発生の過程でハードウエアとしてのアウトラインが「形成」され、生後の成長・発達にともない、動物の経験や環境に依存して「機能的に成熟」し、動物が成体となるまでに、それぞれの脳の領域において「特異的な機能発現」をする。本特定領域研究では、これらに対応する3つの研究項目を設定し、生理学をはじめとする様々な研究手法を結集して、神経回路の機能解明を目指す。研究項目A01においては、神経細胞の移動やその結果おこる層形成と神経核形成、軸索の成長と標的の認識、シナプス形成とその安定化など、神経細胞が分化してから神経回路としての概略の配線が完了するまでを研究対象とする。A02では、経験依存的なシナプスの強化・除去と機能的神経回路発達、シナプス伝達とその修飾、神経可塑性、などのメカニズムを明らかにする。A03では、感覚、認知・判断、運動という脳機能を分担する要素としての神経回路の働きを分子・細胞レベルで明らかにする。
 「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、これらに関連する一人または少数の研究者による、単年度あたりの応募額200〜400万円程度の萌芽的研究と、単年度あたりの応募額500〜800万円程度の独創的研究を公募する。採択目安件数は、萌芽的研究が20件程度、独創的研究が10件程度を予定している。研究期間はいずれも1年であるが、本領域は6年間の研究期間が計画されており、次年度以降も公募を予定している。

(研究項目)
 A01 神経回路の形成
 A02 神経回路の機能的成熟
 A03 神経回路の特異的機能発現