筑波大学 腎泌尿器外科・男性機能科

臨床上の重点的な取り組み

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1.泌尿器腫瘍に対する重点的な取り組み
2.神経因性膀胱に対する重点的な取り組み
3.女性泌尿器科領域に関する重点的な取り組み
4.男性機能障害に対する重点的な取り組み

 1.泌尿器腫瘍に対する重点的な取り組み

浸潤性膀胱がんに対する膀胱温存療法

 浸潤性膀胱がんの治療は、膀胱を摘出した上で人工的に尿の通路を変向する治療が基本とされております。
 筑波大学泌尿器科では、腫瘍の状態によっては浸潤性膀胱がんであっても膀胱を温存する治療が可能ではないかと考え、抗がん剤と放射線治療を組み合わせた膀胱温存療法を行っており、良好な治療成績をあげております。

 (膀胱がんについてはこちらもご覧下さい)

表在性(筋層非浸潤性)膀胱がんに対する集学的治療

 表在性(筋層非浸潤性)膀胱がんの治療の基本は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)です。この疾患は術後に再発が起こりやすく、また上述の浸潤性膀胱がんと見分けがつきにくいといった問題点があります。筑波大学泌尿器科では、症例に応じて TURBTを再度行うことにより腫瘍の深達度を詳細に診断したうえで、リスクに応じて抗がん剤やBCGの膀胱内注入療法など的確な術後補助療法を行うことにより、再発予防やがんの進展防止に努めております。筑波大学泌尿器科では経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は年間数十件ほど行っております。

 (膀胱がんについてはこちらもご覧下さい)

鏡視下手術(腹腔鏡手術)

 1999年より腎・副腎の全摘除術を中心に患者さんへの侵襲が少ない鏡視下手術を導入し、2009年春でちょうど100例の手術件数を数えました。

 2007年以降は腎腫瘍に対する腎部分切除術にも鏡視下手術を開始しており、径4cm以下の突出型の腫瘍で、反対側の腎が健康な症例を対象にしています。現在、鏡視下手術を行う主な疾患は、限局性の腎がん、腎盂(う)尿管がん、副腎腫瘍、停留精巣などですが、今後、水腎症などの腎の先天性奇形に対する手術にも行っていく予定です。

 (腎がん、腎盂尿管がんなどについてはこちらもご覧下さい)


泌尿器がんに対する化学療法

 泌尿器科で扱うがんには、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍などのように抗がん剤が有効なものが多く、化学療法は治療のうえで重要な役割を担っています。筑波大学泌尿器科では個々の患者さんのがん種や進行度、これまでの治療経過、年齢や全身状態、などを十分評価した上で、積極的にがん化学療法を行っております。

 (それぞれの疾患に関してはこちらをご覧下さい)

陽子線治療(前立腺癌)

 陽子線は狙った病巣に対して集中した照射ができます。その結果、従来のX線治療よりも副作用が少なく、手術よりも体への負担が少ない治療として注目されています。筑波大学泌尿器科では、放射線腫瘍グループとの協力により、前立腺がんの陽子線治療に取り組んでいます。

 前立腺がんでは転移のない限局がんを対象として、陽子線治療を行っています。

 なお、陽子線治療は、2008年8月から先進医療として自己負担250万円が必要です。

 (前立腺がんについてはこちらもご覧下さい)

小さな腎がんに対するラジオ波焼灼術

 最近、診断技術の進歩に伴い比較的小さな腎癌が見つかるようになってきました。そのため、腎臓全体を摘出しないで、腎癌を治療する新しい技術の開発が進められています。

 この小さな腎癌に対する治療は手術で癌の存在する部分を切除して可能な限り正常な腎臓を残す腎部分切除術が標準的になっており、筑波大学でも小さな腎癌に対する基本方針は腎部分切除術です。また、最近では傷口が小さくて済む内視鏡を使った鏡視下腎部分切除術も取り入れています。一方で、高齢あるいは併存症のため手術が行えない、あるいは手術に高いリスクが予想される場合もあります。

 ラジオ波凝固療法は目的とする癌病巣に体の外から太さ数ミリほどの電極針を刺し、周波数の低いラジオ波の熱で焼いて癌病巣を死滅させる方法です。手術と違い臓器を切除せず、また傷口も小さくてすむメリットがあります。入院期間も短いため、ラジオ波凝固療法は腎部分切除術より負担の少ない治療として有用性が認められつつあります。本技術は我が国では肝腫瘍に対しては保険適応されていますが、腎癌では研究的治療として位置づけられています。そのため、現在、筑波大学では、小さな腎癌で、手術が行えない、あるいは高い手術リスクが予想される患者さんに限って、このラジオ波凝固療法を実施しています。

 (腎がんについてはこちらもご覧下さい。)

2.神経因性膀胱に対する重点的な取り組み

 神経因性膀胱とは神経の病気によって膀胱や尿道の機能に変調を来している状態です。神経の病気であれば殆どの病気が原因となりますが、代表的なものとしては、脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、頸椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症、骨盤内悪性腫瘍に対する根治術、糖尿病、二分脊椎等の病気があげられます。  

 神経因性膀胱の診療においては、泌尿器科的知識だけでなく神経の病気に関する知識も要求されますので、一般の泌尿器科医にとっては取っ付き難く敬遠されがちな分野です。また、診断や治療方針の立案に必要な検査である尿流動態検査は、泌尿器科の検査の中でも特殊な検査であるため、一般の泌尿器科医には実施困難な面があるのも事実です。

 当院では水曜日の午後に神経因性膀胱外来を開設しており、神経因性膀胱を専門とする泌尿器科医が診療に当たっております。また、火曜日は終日を尿流動態検査の検査日として詳細な機能検査を施行しています(最近では検査件数の増加に伴い、月曜日、木曜日、金曜日にも検査を行っているのが実情です)。

 神経因性膀胱の専門外来を開設している施設は多くないと思いますので、是非とも当院の専門外来をご利用下さい。

3.女性泌尿器科領域に関する重点的な取り組み

 尿もれ(特に腹圧性尿失禁)、骨盤臓器脱を中心とした女性に特有な疾患の診療を行っています。どちらも、妊娠、出産や加齢により、骨盤臓器である、膀胱、尿道、子宮、直腸を支えている骨盤内の靭帯や筋肉(骨盤底筋)がゆるんだ結果、発生します。

 これらは直接命を脅かすものではありませんが、患者さんのなかでの悩みは非常に大きいことが多く、知らず知らずのうちに運動や外出を控えてしまうなど、日常生活を妨げてしまうこともまれではありません。

 筑波大学泌尿器科では、近隣の関連病院とも連携しながら、ひとりひとりの患者さんに対して十分な診療ができるよう努めております。

 (女性泌尿器科疾患についてはこちらもご覧下さい。なお現在、新規患者さんの受付はおこなっておりません。)

4.男性機能障害に対する重点的な取り組み

 専門の男性機能外来を開設して男性更年期障害、勃起障害(ED)、早漏、遅漏などの射精障害などにについての診断・治療を行っています。

 男性更年期障害はだるい、疲れやすい、仕事に集中できない などの症状を伴うもので、近年注目されています。ほかに原因となる疾患にかかっていないかを慎重に調べ、男性ホルモンの値を測定した上で、基準値より低い値を示す場合には男性ホルモン補充療法、基準値以上の場合には症状に応じて治療にあたっています。

 EDについては内服薬を第一選択として、海綿体内注射などの治療を行っています。早漏、遅漏などの射精障害に関しては、カウンセリングにより原因を探ると同時に、効果の期待されている内服薬を処方しております。

 (男性機能障害についてはこちらもご覧下さい。)

最終更新 2011/03/29