1. ホーム
  2. 臨床
  3. 不整脈

臨床
不整脈

不整脈とは

【担当医師】
青沼 和隆野上 昭彦五十嵐 都山崎 浩町野 毅黒木 健志小松 雄樹

心臓は筋肉で出来ており、心筋内の刺激伝導系という経路を電気信号が伝わることにより心臓の興奮(収縮)が起こります。この刺激伝導系を介した興奮伝播により、心臓は通常1分間に60~100回規則正しく収縮・拡張し、全身に血液を送り出しています。不整脈とは、刺激伝導系の異常により心拍が不規則に乱れたり、生理的な変動範囲を超えて不適切に速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)する状態のことを指します。

カテーテルアブレーション

治療対象不整脈
心房細動、心室期外収縮、心室頻拍、心室細動、発作性上室頻拍、心房粗動、心房頻拍など

不整脈の中で最も患者さんの数が多い心房細動に関しては、年間400-500人程度の患者さんの治療を行っております。従来の高周波カテーテルによる治療だけでなく冷凍バルーンや高周波ホットバルーンを用いた治療も積極的に行っております。
また心室性不整脈に対するカテーテル治療にも積極的に取り組んでおり、他院での治療不成功例や薬剤抵抗性の致死性不整脈などに対して高度な技術を要する手術も数多く行っております。

心房細動に対するアブレーション

高周波カテーテル

心房細動は脈が不規則になるために、心房内に血液のうっ滞や心臓からの血液を送り出す効率が低下する結果、脳梗塞などの血栓塞栓症や心不全症状をきたす不整脈です。加齢に伴い有病率が高くなることが報告されており、国内で100万人弱の患者さんが罹患していると推定されています。
心房細動の多くは、左心房へ流入する肺静脈に迷入した心房筋を起源とした異常な電気的興奮を契機に発生することが明らかとなってきました。カテーテルをもちいて肺静脈周囲の心筋を焼灼もしくは冷却することにより肺静脈を起源とする異常な電気興奮が左房全体に伝わることを抑えることにより(肺静脈隔離術)、心房細動の根治が可能になることが明らかとなっています。
カテーテル治療では、足の付け根から心臓内にカテーテルをすすめ治療を行います。治療は主に局所麻酔で行い、手技の平均時間は3-4時間、発作性心房細動の治療後1年の非再発率は80%前後といわれています。治療後に、肺静脈と左心房の間の伝導が再開することにより、心房細動の再発が認められる場合がありますが、2回目の治療を行うことにより、90%前後の患者さんが不整脈の苦しみから解放されます。

高周波カテーテルによる心房細動治療

解剖学的な位置情報と電位情報を統合する
3次元マッピングシステムを用いて、
心臓の3Dの立体画像を構築し、
治療を行います。

バルーン治療

従来の高周波カテーテルを用いた拡大肺静脈隔離術に加えて、最新の治療であるバルーン治療をもちいた肺静脈隔離術にも積極的に取り組んでおります。バルーン治療の利点としては、従来の高周波カテーテルをもちいた肺静脈隔離術より手技が容易であるために、より短い手技時間(平均2時間程度)で従来の治療法と遜色ない治療成績をあげることができます。従来の高周波カテーテルとバルーン治療では、それぞれ利点が異なるために、患者さんごとの不整脈の進行の程度、左心房の解剖などで最も適する治療を提案させていただきます。

❶冷凍バルーン(クライオバルーン)(Arctic Front Advanc冷凍アブレーションカテーテル)

2014年7月1日に日本で第一例目となる治療を筑波大学循環器内科で行いました。
現在、発作性心房細動の標準的な治療になっております。バルーン内に亜酸化窒素ガスを用いてバルーンを冷却することで短時間に肺静脈入口部を全周性に治療を行います。

冷凍バルーン

図説:バルーンで肺静脈を閉塞し、肺静脈と左心房間の電気的交通を遮断します。

❷高周波ホットバルーン(SATAKE・HotBalloonカテーテル)

日本発の治療機器であり、高周波により加温されたバルーンを肺静脈入口部に圧着することにより、クライオバルーンと同様に短時間に肺静脈入口部を全周性に焼灼することが可能となります。
バルーンサイズを調整することができるために、さまざまな形態の肺静脈に対して用いることが可能となっています。
筑波大学循環器内科は、国内で実施された高周波ホットバルーンの治験にも参加し、多くの治療実績を誇ります。

高周波ホットバルーン

図説:バルーンで肺静脈を閉塞し、肺静脈と左心房間の電気的交通を遮断します。

❸レーザーバルーン(レーザー照射内視鏡アブレーションシステム、HeartLight®)

バルーン内部から細径の内視鏡システムをもちいながら、実際に治療をおこなう領域を直視下に確認しながら肺静脈入口部にレーザー照射を行う最新の手法です(2018.7月より保険診療が開始)。他のバルーンシステムと異なり、解剖学的な心筋の厚さにあわせてレーザー照射の出力を調整することが可能となっています。

レーザーバルーン

図説:バルーンで肺静脈を閉塞し、肺静脈と左心房間の電気的交通を遮断します。

難治性心室頻拍に対するアブレーション

心室頻拍は、頻拍の開始にともなって心臓から全身への血液を拍出することが困難となる致死性不整脈です。
当院では致死性心室不整脈に対するアブレーション治療を非常に得意としており、豊富な治療実績をほこります。また、日本全国から治療不成功例の患者さんを当院へご紹介頂き治療を行っております。
通常のカテーテル治療(足のつけねからカテーテルをいれて心臓の内側からカテーテルで治療するもの)で根治できない場合には、みぞおちの部分から心臓の外側にカテーテルを挿入し治療する高度な技術を要する心外膜アプローチによるアブレーションも行っております。

放射線被ばく低減への取り組み

当院では放射線被ばくの低減への取り組みも積極的に行っております。3次元マッピングシステムを有効活用し、放射線の使用をなるべくおさえつつ治療を行っております。また放射線画像と3次元マッピングシステムを融合することで、更に放射線使用をおさえかつ安全に治療を行うことのできるCARTO® UNIVUシステムも使用しております。 放射線被ばくの低減は、患者さんだけではなく医師の身体的負担も低減することができ、患者さん、医師ともに健康面に留意して治療を行っております。

放射線被ばく低減への取り組み:
CARTO® UNIVUシステム

3D画像と放射線画像を融合することで、
放射線量を限りなく
少なくしながら治療を行うことができます

デバイス治療

当院では様々なデバイス治療を行っております。

最新デバイス治療

リードレスペースメーカー(Micra 経カテーテルペーシングシステム)

従来のペースメーカーは血管内にリードとよばれる導線を挿入し、心臓内に留置するものでした。これらは標準的な治療でありますが、感染、リード断線、静脈閉塞などの短期的もしくは長期的に経静脈リードの使用に伴うトラブルが生じる懸念があります。
現在リードレスペースメーカーという導線を必要とせず心腔内に直接留置するタイプのペースメーカーが登場しました。現在のところペースメーカーが必要な患者さんの一部が適応となっております。

最新デバイス治療

皮下植込み型除細動器(S-ICD)

皮下植込み型除細動器(S-ICD)は、血管内にリードを入れず、前胸部の皮下に除細動リードを植込む新たなシステムです。そのため、従来の(経静脈的)植込み型除細動器で問題となっていた感染症、リード断線も起こりにくくなることが期待されています。

皮下植込み型除細動器(S-ICD)

患者さんの個々の病気によってどちらが適するか判断してまいります

最新デバイス治療

エキシマレーザ心内リード抜去システムによるリード抜去術

植込み型デバイス治療の発展と普及に伴い、術後の慢性期に発症する合併症も増加傾向にあります。植え込まれたデバイスに感染が生じる(デバイス感染)と、抗生剤での治療には限界があり敗血症や心内膜炎を発症することで場合によっては致死的病態へと陥ります。デバイス感染症例に対する治療としては、デバイス本体とリードの全抜去が推奨されています。
長期間心臓内、血管内に留置されたリードは癒着のため単純な牽引では抜去が困難であり、過度な牽引は心臓損傷、血管損傷のリスクを伴います。以前は開心術による外科的なリード抜去が行われておりましたが、現在ではエキシマレーザ心内リード抜去システムを用いることにより、より少ない侵襲でリードを抜去することが可能となっております。この手術は危険性を伴う難度の高い手術で心臓外科の先生との連携が必要になるために、日本国内でも限られた施設しか行われていないのが現状です。当院ではエキシマレーザ心内リード抜去システムをもちいたリード抜去手術を行っており、関東全域や東北地方など広範囲の病院からご紹介いただき治療を行っております。

エキシマレーザーによるリード抜去

血管と癒着したリードに対して癒着部分をレーザ―により蒸散、剥離しながら
リードを抜去します

ページトップへ
ページトップへ